ZYYG 1stアルバム
1994年7月13日 リリース
『GO-WILD』
収録曲
01 One Night Heaven
02 NO RETURN LOVE
03 Starting over now
04 SMILE AGAIN
05 壊したい現実
06 RUNNING WAY
07 遠い日のメロディー
08 風にまぶしい
09 SONG FOR BROTHER
10 WANNA GOOD-BYE
11 君が欲しくてたまらない
概要と感想
ZYYGの1stアルバム。ライナーノーツ(レコーディング・ノーツ)付き。栗林誠一郎がZYYGに在籍した最初で最後のアルバム。
Being恒例の1stアルバムはセルフタイトル、という方式は適用されずGO-WILDというタイトルに。
当初は二人組のユニットとして始動したが、M02(4th シングル)以降、ギターに後藤康二、ドラムに藤本健一とメンバーが正式に加入したが、特に加入した件はアナウンスされず、ライナーノーツでも記載がない。また、それ以前はギターに折居直喜、ドラムに(後にDEENに加わる)宇津本直紀が参加していたとされるが、彼らのことも特に記載されていない。
候補として上がった20曲の中から選ばれた11曲が収録とのこと。
M11を除いて栗林誠一郎が作編曲を手掛け、栗林のイニシアティブが強い作品となっている。
1stアルバムで方向性が定まっていないというパターンがチラホラあるBeing系アーティストだが、ZYYGは栗林誠一郎というキャリアが既にあったミュージシャンがメンバーだったこともあってか、アルバム全体がロック な方向で定まってはいる。
出口雅之とのREV結成を辞めて結成されたZYYGということで、おそらく栗林誠一郎のロックな音楽 という意識が全面的に反映されたアルバムなんだろうけど、どうもそのロックさがちぐはぐな感じ が否めないところではある。
方向は定まっていると先述したんだけど、メンバー全員が同じ方向を向きつつ、一極集中していったか、といわれればそうでないように思ってしまうところ。
栗林誠一郎の作曲センスは素晴らしく、コーラスワークも熟練されており、野太いベースプレイやキーボードも全曲でプレイする、ZYYGのメンバーとして最高の仕事っぷり をしているのは確かだが、編曲の面においてどうも引き出しというか思い切りのなさがあるかな、と思う。
栗林のソロでは幅広い編曲を自身の名義でしているだけに、本作の4人組という編成を生かし切れてないように感じてしまう。
ZYYGは栗林脱退後、高山と後藤が作曲していき、編曲もZYYG名義になるが、それと比べるとどうしてもバンドの音としては劣っているように思えるのが正直なところ。
もし、栗林が脱退しなければ、高山、栗林、後藤の出し合った音楽が聴けたのだろうか。そんなイフも考えてしまう。
音楽性の違いということで脱退したとされる栗林誠一郎は脱退後、Barbierやソロ、曲の提供と活動を続けたが、ZYYGの頃のような音楽性を追求している感じもしないし、何かやりきったものがあったのかなって。
高山征輝の歌詞もその後と比べるとアウトローな歌詞ではなく、切ない恋愛模様なんかを表現していたりするが、根本にある不良的な表現も随所にある。また、ライナーノーツに「栗林と高山の歌うキーはほぼ同じな為、原キーのままで進むことが多い」 とあるが、高山はもっと伸びのある歌声を持っている人だし、次作以降の曲を聴くと色々と矯正された、出し切れてない感がする。
Pickup Songs
01 One Night Heaven
どっしりとした幕開けにしよう 、という高山さんの意見が採用されたというオープニングナンバー。
グルーヴ感のあるヘヴィで硬派なロックソングでM02のカップリング曲だった「Over the black fence」の路線をさらに追求したような感じ。
ZYYGの曲としては、珍しく(?)、ギターが縦横無尽に鳴っている (かけあっている感じを出したとのこと)が、それでも音をどっしりとまとめているのは、ベーシストでイニシアティブを握っていた栗林誠一郎が在籍していたからこそ、出来たアレンジなのかな、と思う。随所のベースラインもカッコいい。
この曲最大の特徴ともいえる分厚い コーラス だが、レコーディング・ノーツによれば「メンバー他6人の声を~」 とある。TWINZERの生沢祐一の名前がクレジットされているので、メンバー4人+生沢さんの5人 は歌詞カードから分かるが、最後の一人は誰なんだろうか(生沢さんのクレジットは自社アーティストの宣伝も含んでクレジットされているのかもしれないとすると、スタッフさんとかか?)。
あと、この曲は淑女との「One Night Heaven」な曲だからなんだろうが、2番Bメロで女性の笑い声 みたいなのが聴こえるんだが、その点はレコーディング・ノーツにも言及がなく 、コーラス(笑い声ってコーラスと呼ばないか)が誰かも書いていないのも気になるところ。筆者しか聴こえないとかホラーなことはないと思うが。
文章が長くなったが、色々と気づきのある曲で筆者的に好きな曲でもある。
02 NO RETURN LOVE
曲の感想はシングル感想 を参照。
03 STARTING OVER NOW
サイレン音から始まる都会的なロックナンバー。
歌詞にも「傷だらけの夢を抱いて 駆けて行きたい がむしゃらに」とあるが夜のヨーロッパ的な都会をポリスから逃げている、そんなイメージがする一曲。と同時に高山の底にあるアウトローなスピリッツも現れているように思う。
誰かの~の部分でコーラスに入る栗林がクール。最後の方はコーラスが厚くなり、ギターもヒートアップしていき、ヘヴィな幕開けをした本作においてその流れを一度払拭する、序盤のキーとなる曲な気がする。
04 SMILE AGAIN
キーボード中心のロックバラードで栗林の極上な作曲センスが炸裂した一曲。1コーラス後にギターとドラムがグッと入り、曲全体を昂らせている構成がいい。栗林のコーラスも流石。『愛と疑惑のサスペンス エンディングテーマ集』 にも収録されている。今のZYYGとなっては逆に作れないであろう栗林節全開な感じがいいところ。
SMILE AGAIN
ZYYG
J-Pop
¥255
provided courtesy of iTunes
05 壊したい現実
曲の感想はシングル感想 を参照。
06 RUNNING WAY
アメリカンな広大な感じのするヘヴィなロックソング。ヘヴィなんだけど、サビではカラッとした暑さと広さを感じる。
何気にキーボードに力の入った曲。キーボードの盛り上がっていく感じが、この曲全体をヘヴィなサウンドなのにグンとスケールを広げているというか。
転調を駆使したアッパーのある盛り上がりも良い。
RUNNING WAY
ZYYG
J-Pop
¥255
provided courtesy of iTunes
07 遠い日のメロディー
ZYYGの曲の中では、一番Being感を感じる伸びやかなミディアムロックナンバー。アレンジを葉山たけしとかに任せたら、まんまTWINZERとか他のユニットに採用されてそうな感じ。
レコーディング・ノーツを見ると「93年5月制作開始」「シングル曲以外では、この曲が一番初めに制作に着手」 とあるのだが、ZYYGは93年5月19日に1stシングル(M11) をリリース。2ndシングル(M08)は93年11月10日 という時系列なので、後藤・藤本さんらが加入前から大元があった1曲 なんだろうけど、これって本アルバムリリースにあたって後藤・藤本さんらとレコーディングした のか、それ以前に演奏は完パケしていた(後藤・藤本さんらは演奏していない) のかどっちなんだろうか。
後藤・藤本さんら以前のギター・ドラムは写真やPVに登場しつつも、本作ではクレジットされておらず、存在が消えているとなると、後者の2人は演奏に参加していない(それ以前にレコーディングが済んでいた)可能性も無くはないような気がするんだけど。
この曲は、なんかドラムもギターも初期の音って感じがして、その辺が気になった。
遠い日のメロディー
ZYYG
J-Pop
¥255
provided courtesy of iTunes
08 風にまぶしい
曲の感想はシングル感想 を参照。
09 SONG FOR BROTHER
アコギの音で始まるミディアムナンバー。歌詞カードを見るまでずっと、サビは「そう、僕らは~」と歌ってると勘違いしていた。SONG FOR BROTHERである。
アコギとピアノを主体としたサウンドは栗林ソロに近いと思う。サックスを入れたりしたら。
「夢をつかむまで」と別れをテーマにした曲だが、過去への未練・懐かしさと哀愁のある感じを演出させるサウンドは流石、栗林さん。
10 WANNA GOOD-BYE
本アルバムでは一番テンポが高いという疾走ロックナンバー。
M11を更に極めました!的なサウンド。全編にわたってアコギをかき鳴らしているのがいいテイストだ。
アルバムソングの中じゃ一番2期のサウンドに近いかもしれない。
ただ、この曲を聴いて改めて思うんだが、M05のシャープなギターと弾けるドラム、つまりはハードロック・ヘヴィメタルなサウンドが異色だな、と。なぜ「壊したい現実」だけ、あんなHR/HMっぽいのか・・・。
実際、この曲もリフを激しくしたらBLIZARDっぽい。
11 君が欲しくてたまらない
曲の感想はシングル感想 を参照。
俗にいう後期ミックスでの収録。
2021年12月23日
2022年2月23日 加筆修正