深海DIARY

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【シングル感想】『錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう』 WANDS

WANDS 12thシングル

1997年9月3日 リリース

概要

3期WANDS初のシングル。通算12枚目。
 
このシングルからボーカルに和久二郎、ギターに杉元一生が加入。
キーボードの木村真也をリーダーとし、新制WANDSがスタートした。
 
ファンクラブの会報『WANDER-LAND 1997 Vol.15』を参照すると、上杉昇&柴崎浩両名が96年の6月末に事務所との契約を解除。その後、12月頃までレコード会社も交えて音楽性について話し合ったというが、二人の決意は固く、木村さんも止める権利はない、ということになった。
 
残った木村さんは音楽を辞めることすら考えたが、音楽活動を続行。
 
テープを色々聴いて「これだ!」と思ったのが和久二郎、杉元一生の二人であった。
 
元ジャニーズJrという(SMAPの前身ユニット「スケートボーイズ」のメンバー)異色の経歴を持つ和久二郎(松元治郎)。
 
BeingのオーディションにWANDS「Little Bit…」をテープに吹き込み送っており、それを聴いた木村さんが「WANDSサウンド継承にあたって無理のないスタイルがとれたボーカリスト」として木村さん直々にアプローチ
FRIDAYの取材(2021年掲載)では「反射的に断った(中略)社長(中島正雄氏)に説得された」とあり、会報においても「荷が重すぎる」「本当に自分でいいのか」と重圧や不安、葛藤を感じながらのスタートだったようだ。
 
同じくデモテープを制作していた杉元一生(安保一生)も「WANDSのギターをやってみない?」という誘いを受け参加。杉元さんもプレッシャーに悩まされながらのスタートだったと会報にて答えている。
ちなみに、和久、杉元両名は加入前からWANDSは知っていた。
 
リーダーとなった木村さんはWANDSというユニット名の元々の由来であるタロットカード「ワンズ」「情熱」「理想に向かって進む」という意味を含んでいることが、「新しい気持ちで始める僕たちにちょうどいい」として「あえて」バンド名を変えず、第三期WANDSとして始動することになった、と答えている。
 
そして完成した第三期のデビューシングル。
1年7ヵ月というスパンが空いてのリリースとなり、『ドラゴンボールGT』のエンディングテーマに採用された。地味に『時の扉』以来の縦長デザイン
 
前作のシングル「WORST CRIME〜About a rock star who was a swindler〜/Blind To My Heart」を上回った売り上げに。
前作まで続いたグランジ路線からデジタルロック路線へと戻った作品であり、やはり当時のWANDSファンの多くはデジロック路線を待っていたのか、タイアップ先のアニメ効果があったのか。
 
3期初のシングル盤にはメンバーの写真がなかったこと名前が記載されていなかったことメンバーチェンジを隠した物議を醸した、とネット上では語り継がれている。
 
ただ、当ブログのコメントでは「リリース前にラジオ番組でアナウンスされていた」というコメントもあり、WANDSファンクラブの会報(1997Vol.15)でも報告されているので、Beingサイドがひた隠しにしたかったのか、と言われればそうではないのかな、と思う。
 
PVが、薄暗い中、下から光が照らされ逆光の中で歌う、という演出が顔の識別を難しくして、メンバーチェンジを分かりづらくした、とする意見もあるが、ジャケットデザインを「21世紀を見据えようと(中略)宇宙と龍のイメージ」と答えており、PVでも冒頭から銀河が映し出されていることから、薄暗く、光が差し込んでいる演出はキーワードである「宇宙」とマッチしていると思う。
 
筆者が初めてこのPVを見ているときは、普通に曲の雰囲気にマッチしてるな、と思ったのが正直な感想。
 
もっと言えば、メンバー表記無しで知らず知らずのうちにメンバーが加入、脱退している、PV(MV)でメンバーの存在をボカシつつ、結局いない、写っている人とは別の人が加入する、ってパターンが多々あったBeing。
表記とかその辺はWANDS以前からガバガバだったので、隠す意図をもってシングル盤にメンバー表記を書いていない、写真がない、というのも考えすぎなのかな、と思ったり。
 
正直、メディアに極力出ないっていうBeingの特性が仇になってしまった(誤解を生んだ)ようにも思えるが、オリコン4位とヒット曲だし、多分ランキングとかで紹介はされていたのではないかと思うんだけど、メディアではどう取り扱っていたのだろうか。
 
なお、本作よりカラオケ音源が復活した。
 

01 錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう

小松未歩作詞作曲。池田大介編曲という布陣の提供曲。ギターに鈴木英俊が参加している。
 
池田大介は「Secret Night 〜It's My Treat〜」以来の参加であり、また作詞作曲まるっきり提供なのはWANDSにおいて初だったりする(作曲に提供はあっても作詞は全て上杉さんが参加していたため)。
 
あの頃(=大ヒットしてた頃)に回帰したようなビーイング黄金ポップ路線な曲調だが、97年というBeingが色々とGIZAに移行していた時期だった為か、当時の音楽シーンを含んでか、93年頃の音作りではなく、重いギターやドッシリ構えたキーボード、と、音に関してはかなりBeing全盛期のポップサウンドとは違っている感じに。
 
実際に、「原点に帰れるWANDSサウンド」という意見を基に木村さんが色々なデモテープを聴き、小松未歩の曲が一番ふさわしい、という結果になったとのこと。
 
余談だが、ここから察するに、上杉さんが「WORST CRIME」の後に事務所側から渡されたポップ路線な楽曲は小松未歩だったのだろうか?
 
というのも、小松未歩が最初にデモテープを作ったのは96年8月26日と(寺尾広「Being Works 第5回 謎」『music freak Es Vol.20 (2011年8月号)』より)と言われており、上杉昇&柴崎浩両名は96年6月末に事務所との契約を解除している。
「WORST CRIME」は96年2月に発売されており、次に渡された、となると2月~6月の辺りになるはず。
 
つまり、小松未歩が初めてデモテープを作った前、ということなる。
上杉昇&柴崎浩両名は12月末まで話し合っていた、とあるが、その時は脱退が決定的な状態だし、その頃にポップ路線の曲を持ってこられた、というのも考えにくい。6月末以前に持ってこられて、それが引き金での6月末に契約解除だろう。
 
この一連の時系列を整理すると、上杉さんが渡されたポップ路線の曲は小松未歩ではない、別の人の音源の可能性が高いんじゃないだろうか。
もし、小松未歩による「錆びついた~」が渡されていたとすると、約1年程お蔵入り状態だったことになるし、寺尾さんの記事と矛盾が生じる。
 
話を戻す。
 
ドラゴンボールGTは未視聴、というかドラゴンボール自体を原作もアニメも、近年のリメイクや新作含め、ほぼ未読未視聴なので(子どもの頃、病院の子ども用の待合室でアニマックスの放送分が流れていたり、夏休みに再放送があって見たぐらい)大まかなことしかわからないが、ドラゴンボールGTは「Grand Touring(グランド・ツーリング)」(壮大なる旅)という意味があり、冒険をテーマにしているとのこと。
 
でもって歌詞は都会で疲れた主人公が地図にない町へと旅立ち、前に進んでいこう、といったテーマ「冒険」とリンクしたような、暗いトンネルを抜けて明るい未来へ進んでいくぞ、的な感じでドラゴンボールGTを見ていた低年齢層にマッチし、心に響くような詞かなと思う。
 
「complete of WANDS at the BEING studio」で初めて聴いて(『時の扉』の次にWANDSで聴いたアルバムだった)ストレートで力強いサウンドと歌声、歌詞が自分の中では高評価で、いつしかこのベストの中で一番リピートした曲だった記憶がある。それぐらいお気に入り。
 
力強いキーボードが、ギターとボーカルを引っ張る、大島さんとは違ったリードをする木村色が出たようなポップでパワーのあるロックナンバー。
 
WANDSという楽器隊の編成を活かしたバランスの良い演奏はグッとくるし、2期によるポップ路線に磨きをかけたサウンドは、あの頃を思い出させると同時に、新たな期待を膨らませる1曲だと思う。
 
和久さんの伸びやかなボーカルも心地よく、プロとして一発目とは思えないような堂々たる歌声を披露しており、90年代後半には下火だった純粋なハイトーンのボーカリストだが、非常に貴重な逸材だったのは紛れもない事実だろう。
 
なお、エンディングで流れていた音源に関しては、CD版と結構違っており特に歌いまわしがだいぶ違うのは面白い違い。
 
が、ドラゴンボールGTのサントラは劇場版のものしか発売されていないようで、現況、このEDバージョンはCDでは聞けない模様。同じくGTのエンディングを担当したZARDの「Don't you see!」は後にBOXにTV on-air ver.として収録されたが、WANDSもTV on-air ver.が何らかの形で解禁されることはあるのだろうか・・・。
 

幻(?)の2番について

1月19日(最初に記事を書き下ろしたとき)、朝になにげなくツイッターでこの曲のタイトルを打ち込み、色々とツイートを見ていると2021年3月のツイートで「シングルが出る前は2番の歌詞が違った」というものを発見した。
 
勝手に引用リツイートさせていただいたのだが、筆者の引用リツイート後の反応を見ても、誰も知っていなかったようで(他の人の引用RTみても筆者が引用RTした後のものしかない)、2番の歌詞を打ち込んでもGoogleでヒットせず、歌詞・違うといったニュアンスで検索してもヒットしない。その為、ずっと埋もれていた情報だったようだ。
 
とにかく歌詞が全く違い、CDとして発表されたものは、基本、最後には清らかに前向きな冒険をテーマとした詞だったが、幻(?)の2番については最後まで荒廃的な、打ちひしがれたような内容。
 
もう一度戻って君の姿 探す
何を学び どんな答え見つけてきたんだろう
行き交う人の中に矛盾抱き生きてきた強さは
見果てぬ未来へ続く 立ち止まらず進めばいいさ
 
流行(はや)らない善人と嘲笑(わら)われたって
見上げた大空に 飛び込んで行こう
 
正義を信じても ここじゃ暮らせない
偽りだけなら いっそう常識(げんじつ)を変えちまえばいい
 
と2番の歌詞がまるっきり違っている。
この幻の歌詞が載っているのはドラゴンボールGTの台本とされているが・・・。
 
「錆びついた~」はまず、歌い方の違うTV on-air verがあるが、その段階では2番の歌詞は上記のものを採用していたのだろうか?
PV(MV)を制作した時には現行の歌詞になっていたのか?
 
PV(MV)はショートバージョンしか商品化されていないが、撮影の段階では幻の2番歌詞でアテフリしていて、差し替えができないからショートバージョンに・・・。とかそういう可能性・・・はないか?
 
小松さんは、何をテーマに、どういう思いでこの歌詞を書いていたのだろうか。
 
オリジナルの歌詞に関して、脱退した二人を歌っているのでは?って意見もあるが、96年8月に初めてデモを作った、って証言からして、上杉・柴崎さんらと面識どころか脱退騒動すら、同じ事務所の人間だとしても知っていたのか?って感じするんだよな。いくら長戸プロデューサーに近い立場にいたとしても。まぁ推測の域を出ない話だが。
 
少なからず、WANDSヒストリーを知るうえで、重要な情報であることは間違いない。
 

02 Try Again

カップリング曲はWANDSに残った木村真也が作詞作曲の両方を担当し、編曲もWANDSな自作曲。
コーラスに高原由妃が参加。
 
2期の頃は作曲を1曲行っていたが、作詞も担当。
 
題名の通り、「再起」についてを歌ったもので、あくまで詞としてはすれ違いの恋愛からの再起を歌われているが、随所随所でWANDSと照らし合わせているのか、と思えるような意味深な言葉選びがされている。あくまで筆者の憶測だが。
 
ピコピコとしたイントロからもわかるように打ち込みを多用した音作りでA面と比べて、編曲WANDSでの手探り感がするところ。
 
ループ・ドラムを使用した、ということが会報でもライナーノーツでもアピールされている。ドラムンベースを彷彿させる、とも評されているが、あまり感じない気が・・・。
ともあれ、新たな試みを基に制作された、ということで、新たなWANDSサウンド、という心意気を感じさせる。
 
木村さん曰く「漠然と不思議なもの」とのこと。
 
後になってから思うのは、まだ新メンバーと作り上げるWANDS像、ユニットのサウンドというものを模索していた中でリリースしたのかなぁ、と次回からのカップリング曲を聴くと思う。
 
5期でセルフカバーしたら面白くなるんじゃないだろうか。
 

03 錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう(original karaoke)

コーラスありのカラオケ音源。
 
コーラスが色々入っているが、安保さんのツイートにて、女性コーラスは本人も定かでない、と答えている。
そんでもって男性コーラスも安保さんではない、とツイートしており、シングル盤、その他のベストアルバム等のクレジットで明かされておらず、詳細は不明。
 
なお、安保さんはその他の曲に関してはだいたいコーラスをやっている、とのこと。
 
全編を通してキーボードサウンドの進化を感じさせる。