深海DIARY

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【シングル感想】『GYPSY DOLL/BLOOD ON BLOOD/微笑みだけをくれないか』 ZYYG

ZYYG 7thシングル

1996年7月22日 リリース

概要

ZYYGの7thシングル。ZYYG初の12cmCD(MAXI SINGLE)となり、トリプルA面。全曲にタイアップが付いた。

次作のアルバムには全曲未収録となったが、『BEST OF BEST 1000 ZYYG』には「GYPSY DOLL」のみが収録された。

『Noizy Beat』と同じく池田大介と加藤貴也がキーボードとして参加。

GYPSY DOLL

力強いベースとドラムが全面に出た硬派なロックナンバー。イントロだけ聴くと疾走感がありそうだが、Aメロへと入っていくと、グルーヴ感あふれるヘヴィなテンポになっていて不思議な感じがする。

先述したように『Noizy Beat』と同じく池田大介と加藤貴也がキーボードとして参加している為、『Noizy Beat』の延長戦のような1曲だが、ソリッド感がある。

 

高山さんの歌詞といえば、まさに「壊したい現実」を取り扱うことが多いのだが、この曲は「壊したい現実」の究極形ともいえるような内容で、恋愛は取り扱わず、ただひたすらに壊したい願望な詩を綴っている。

 

手も足も出ない イラ立ちをこの車に詰めて Crashしたい気分

とひたすらに荒れ狂うパンキッシュさ。

 

都会(ざわめき)の中で孤独を感じても 爪を剥ぐ痛みよりマシだから

という表現もすごく、Being系アーティストは基本綺麗な歌詞を書くことが多いのに、高山さんはただひたすらにアウトローを貫いている。

 

正直、2期末期の上杉昇を凌ぐ勢いでパンキッシュな歌詞だがWANDSと違い、ここまで我流を貫けたのは何故なんだろうか。

 

でも、ひらすらアウトローで「壊したい現実」な歌詞なのに対し、最後に

 

こんなトコで幕は引けない 無限の夢だけ抱きしめて

Dreamerな情熱を秘めているのが高山さんらしい。

 

高山征輝の歌詞はアウトローなんだけど、ひたすら壊せって歌詞じゃなくて信念と夢を忘れずに、それに向かって壁を壊していけ、と歌っているのが良い。

 

夢を諦めているからこそ、現実逃避するのではなく、夢を諦めていないからこそ、立ち向かうという姿勢の歌詞は、アウトローながらその信念に心掴まれる

 

GYPSY DOLL

GYPSY DOLL

BLOOD ON BLOOD

GYPSY DOLLに続いて、現実を壊していけ、と熱いメッセージを込めた1曲。

 

曲の構成が面白く、Aメロ→A´メロ→Bメロそしてサビときて、2番に進むのではなく、Bメロ→サビ→ギターソロときて2番に入り、A・Bからのサビでフェードアウトしていく。

その為、サビが曲の占める割合が高いが、「BLOOD ON BLOOD」とキャッチーで熱いフレーズを連発するのはインパクトがあるし、ライブをすれば必ず盛り上がるであろう。

 

メンバーも観客も一緒に合唱できる(今回で言えば「BLOOD ON BLOOD」)部分を入れてその部分を連発するって曲の作り方は80年代のアメリカのメタルシーンの作り方に似ているような。テクニカルよりも分かりやすい演奏も含め。

 

自分を信じて立ち上がれ、と鼓舞する歌詞だが、

世間(まわり)のヤボな視線(うわさ) 少しだけ気にしながら 生きていこう

と少しだけ小心な歌詞が最後にあるのが意外なのだが、逆にリアリティがある。

BLOOD ON BLOOD

BLOOD ON BLOOD

 

微笑みだけをくれないか

トリプルA面最後の曲はミディアムなスローナンバー。

ZYYG版「わがままジュリエットな1曲。

ダッ・ダッと鳴らすベースとかまんまわがままジュリエットでの松井常松フレーズじゃないか?

 

シンセをかぶせた湿り気のあるサウンドは前作のシングルに収録された「Only Memories」の延長線上にある感じ。この路線でもう一発、と。

あまり起伏のない曲展開だが、ムードの漂う調和されたバンドサウンドは味わい深く、スルメ的な、聴けば聴くほど味が増してくる1曲だ。

 

このスルメな感じ、まさに微笑み、なんだよなぁ。

微笑み、って言葉は声を出さない笑顔、嬉しい表現と表現されることがグローバルなセオリーだが、高山さんのこの歌詞で表現する微笑みは、日本人的な嬉しさと悲しさが混じったような笑顔(=微笑み)ってニュアンスなんだと思う。歌詞を聴いても。

そういう意味で、この起伏が少ない感じのサウンドが合っている。

微笑みだけをくれないか

微笑みだけをくれないか

  • provided courtesy of iTunes

 

3曲ともスルーするには捨てがたい曲たちで『SWEET PUNKS』には入らないなぁというサウンドだが、要チェック。