深海DIARY

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【アルバム感想】『Emergency Express - Metal Warning Ⅱ-』 V.A

Emergency Expressシリーズ(オムニバス)第一弾

1989年5月21日 リリース

 

 

Amazonリンクにあるものはリマスター盤の画像が使用されている)

収録曲

01 憂鬱 / ZI:KILL

02 A Night In Red / NUDY JANE

03 STEADY DOG / BAD MESSIAH

04 BLACK CHAPE / DAMZELL

05 CRAZY SADISM / GARGOYLE

06 SUCK YOUR BONE / UNITED

07 KING'S EVIL / CROWLEY

08 呪縛~人形嫌い / BELLZLLEB

09 HEART BREAK / ELIZA

10 KILL YOURSELF / かまいたち

11 TAKE ME AWAY / MAZERAN

概要と感想

コアなV系ファンの間では存在が多少は知れているであろうオムニバス盤『Emergency Express』のシリーズ第1弾

89年にオリジナル盤・91年にジャケット差し替えで再発96年6月21日にオリジナルジャケットデザインでデジタルリマスタリングでの発売、と3度にわたって再発されている模様。

筆者が所持しているのは96年のリマスター盤。

 

筆者の所持するリマスター盤には『Emergency Express』としかタイトルにないが、元は『Emergency Express - Metal Warning Ⅱ-』という名で、『Metal Warning』というオムニバスシリーズの第2弾として発売された模様。

 

そのタイトルから分かるように、元はインディーズシーンで活躍するジャパニーズ・メタルバンドを紹介するオムニバスシリーズとして始まり、本作(第二弾)も当初はインディーズのジャパメタバンドを紹介するというセールスポイントだったようだが、取り上げたバンドの中には90年代に入り台頭していくヴィジュアル系にカテゴライズされるバンドも多かった為か、96年の再発盤では歌詞カードの最後にV系コンピの告知があったりと、今となってはV系コンピとしての方が名高い気がする。

 

事実、『Emergency Express』はシリーズ化されたが、本作を最後に「Metal Warning」の副題が取れた。そして、そのまま『Emergency Express』はV系のコンピレーションアルバムの要素を多く含み、黒夢・Eins:Vier・SIAM SHADEPlastic TreeFANATIC◇CRISISといった大物バンドのインディーズシーンでの音源を収録した。

 

余談だが、筆者の個人的な印象だが、今のようにサブスクはおろか、インターネットもない時代。音楽の情報源の多くはライブハウスの交流や音楽雑誌によるところが大きかったのでは、と想像するが、「スタジオ音源」という形でカタログ的に聴けたものが「オムニバス」という存在だった、と感じる。

そして、この「オムニバス盤」というジャンルを活発化させたのは、ジャパニーズ・メタルの影響が大きいのではないだろうか。

 

関西メタルを集めた『BATTLE OF METAL』や柴田直人らが関与した『HEAVY METAL FORCE 』など。ジャパメタ以前にも自主レーベルからオムニバスを発売する動きはあったが、この発売形態にさらに火を着けたのはジャパメタの影響も大きかったように思う。

86年以降のインディーズ・メタルブームもバンドブームやV系ブームにつながっているのを考えると、ジャパメタブームが日本のロックの「売り方」の礎をだいぶ築いたんじゃないか、と筆者は勝手に推測している。

 

話を戻すが、本作は一応インディーズバンドをピックアップしたオムニバス。

元は『J.A.P. Records』より販売。メジャー流通もしていたようで、再発盤ではテイチクから発売されている。

 

まだV系って言葉が生まれる前、というかV系とカテゴライズされずにメタルとかパンクとかハードコアとか、インディーズのロックが混在していた時代の作品ということで、一概に全てがメタルって感じはしない。あくまでもインディーズロックシーンをコンピレーションしたように思う。

後に大成するバンドから、あまり名前の聞かないバンドと幅広いが、本作でしか聴けない音源も多い。

やはり、後にシリーズ化されただけある、伝説の始まりを刻む資料的にも価値のある1枚だろうし、一聴する価値のあるアルバム。

Pickup Songs

01 憂鬱 / ZI:KILL

XのYOSHIKIが主宰するecstasy recordに属し(LUNA SEAGLAYの先輩)、メジャーシーンでも成功を収め武道館ライブも行ったZI:KILLの楽曲。

後に『CLOSE DANCE』(インディーズ2枚目のアルバム)ではリ・レコーディングされて収録された(こちらのバージョンの方が圧倒的に有名か)。

 

『CLOSE DANCE』の時にはドラムがyukihiro(後にご存知L'Arc〜en〜Cielのドラムに)だったが、本作に収録されている音源は『   真世界〜REAL OF THE WORLD〜』(インディーズ1st)で叩いていたMASAMIが担当。

曲のアレンジ自体はリ・レコーディングされたバージョンとさほど変わりがない。が、やはりドラムの音色は全然違うし、演奏自体も若干固いかな、と。だがその分、ヘヴィだしポジパン的な要素が強い。

02 A Night In Red / NUDY JANE

始めて聞いたバンド。

ネットで調べてもあまり情報は得られなかった。他のレビューではR&R系と表現しているものが多かったが、個人的には歌声もサウンドBLANKEY JET CITYに似てるな、という印象でガレージロック的な要素が強いかな、と感じた。

ダラけたルーズな演奏と粘っこいボーカル。THE STREET SLIDERSとかDEEP(鈴木晃二がいた方の)みたいな音。聴いていくうちに癖になる。

2曲目から既にメタルとは程遠いとかいっちゃいけない。

03 STEADY DOG / BAD MESSIAH

このバンドも初聞き。

ガなりのあるボーカルとパワー溢れるサウンド。それでいてサビはキャッチー。

一言で表現するとバッドボーイズロック系統、かな。モーターヘッド感もある。重いリフは聴いていて気持ちいい。

後にメジャーデビューしたようだ。

04 BLACK CHAPE / DAMZELL

初聞き。

4曲目にしてジャパメタ的な1曲。

イントロから透き通る綺麗なシャウトを決めていく。ただ派手にメタルするんじゃなくて、シンセ(?)をBメロやギターソロに盛り込み、雰囲気を持たせている。

 

ボーカルが意図的なのか、技術的な問題なのか、常に揺れた(震えた)ように歌っているんだが、詩やシンセを盛り込んだ演奏含め、ホラーな要素を詰め込んだ印象を受ける。ブラックメタル的な。他の音源を聴いたことがないから、決めつけれないけど。

 

個人的には好印象。調べによると、ANTHEMのオープニングアクトを務めるなど、ジャパメタバンドとして知る人ぞ知る存在だったようだ。

05 CRAZY SADISM / GARGOYLE

ライブハウスの帝王として知られる GARGOYLE先輩の楽曲。

後に『回顧録』というインディーズ時代のレア音源を集めたコンピレーションに収録されるが、そちらではリ・レコーディングされている。

その為、このバージョンは現在本作でしか聴けない。

本バンドの公式サイトによればGargoyle 初の販売音源!」と説明がある。

 

回顧録』のリレコーディングVer.とは若干アレンジが異なる。語りで始まるイントロ。その後に鳴るストリングス。Gargoyleといえばスラッシュなメタル要素に「和」を感じる古風な日本の言い回しをした歌詞、そしてストリングスをメタルに融合させた唯一無二のサウンドを構築していたことにあり、本作でも圧倒的な貫禄。

 

バンド初の販売音源とは思えない。ギターソロは『回顧録』のものとだいぶ異なっており、本作ではスウィープ奏法(なはず)を使ったメロディアスなソロに。屍忌蛇さんのギターは流石です。

 

なお、GARGOYLEはメジャーデビュー→インディーズに戻りGargoyleと表記を変え現在も活動中。

06 SUCK YOUR BONE / UNITED

スラッシュメタル界の重鎮UNITED先輩の楽曲。

メンバーチェンジが多いバンドではあるが、歌詞カードを参照すると古井義明・吉田"Hally"良文・吉沢巌・横山明裕・内野裕一の布陣となっている。

 

UNITEDはちょくちょく聴いていて、バンドそのものに詳しいわけではないのだが、ヘヴィなスラッシュをイメージしていたが、本作では案外パワーメタルチックな印象。

UNITEDの公式サイトにて、このアルバムに関するコメントが掲載されている。

 

こちらも現在も活動中。世界を股にかけ活動している。

07 KING'S EVIL / CROWLEY

名古屋出身のバンド。オカルトやホラー、悪魔的なコンセプトで日本のブラックメタル系では有名。LP盤が海外で紹介されたことにより、向こうでカルト的な人気を誇っていたことでも知られる。

同じブラックメタル系で、日本ではその走りであるSABBRABELLSよりはアクが少なく、見た目と裏腹に結構ポップでキャッチーなのが特徴的な彼らの音源。

 

悪魔的な歌詞に合わせておどろおどろしい雰囲気はあるが、メロディアスでキャッチー。

ギターソロもメロディアス。個人的にはドラムフレーズが好き。

 

なお、このバンドも2017年より再始動。現在も活動中

 CROWLEYは80年代の頃のアルバムは聴いたことがないが、17年以降のアルバムは何枚か聴いた。

08 呪縛~人形嫌い / BELLZLLEB

解散ライブで黒夢が前座を務めたということで知られる BELLZLLEB

個人的には黒夢関連よりも幻覚アレルギーのサポートをしていた印象が強い。

CROWLEYと同じく悪魔的なブラックメタル。だがこちらは呪詛系な要素も強い。

 

このバンドはアルバムとベストそれぞれ1枚ずつ持っているんだが、ブラックメタルでおどろおどろしいのと同時に中東系や和風など、様々な音色を奏でていたのが印象深く、この曲もただおどろおどろしいだけでは終わらない。

 

サビ部分はピー音修正されている(歌詞カードでも伏字に)ため、ちょっと残念。メジャーで流通していたからか、過激な表現が修正されている模様。ネットで修正部分の歌詞を調べたが、修正やむなし。

09 HEART BREAK / ELIZA

初聞き。

北海道出身のバンド。ガンズのような軽さもあるメタル。同じ北海道出身のフラットバッカーを連想させるボーカルの伸びやかな感じ、軽快なリフ。

89年の作品ながら、古き良き、というか初期の44MAGNUMのような音。

 

こちらも現在活動中メンバーチェンジをしつつも2012年から継続的に活動している模様(公式サイト参考)。

10 KILL YOURSELF / かまいたち

京都出身、はちゃめちゃ狂をコンセプトとしたDynamite Tommy主宰のレーベルFree-Will所属バンドかまいたち先輩の楽曲。

メジャーデビューではオリコン10位を記録するなど成功も収めた。

 

本楽曲は、題名の通り自殺をテーマにした伝説の曲。

元はカセットテープでリリースされた作品(未CD化)に収録されていた曲のようで、後にビデオの発売ではPV(MV)が見れるのだが、もうはちゃめちゃ。

 

サビでは1番とラストサビで実在する日本の自殺した有名人(芸能人)の名前をそのままメロディーに乗せ、2番サビは某事務所へのアンチテーゼな内容だった。

 

今なら絶対に袋叩きにされる曲で、昔のインディーズだからこそできた曲だろうな、と思うのだが、本作でもメジャー流通したからか、当然のようにサビはピー音修正

ただ、一部は誰の名前を歌っているのか分かる。

ピー音がデカいのでちょっと残念。

『いたちごっこ』(インディーズ1stアルバム)では「続・自殺〜KILL YOURSELF」として再構築されている。

 

2015年に一夜限りの再始動。16年にはVISUAL JAPAN SUMMIT 2016出演。17年に解散ライブを行った。その後、お笑い芸人(今ではキャンプを題材としたYouTube活動でも知られる)ヒロシをメンバーとし、はちゃめちゃ狂バンドという名で活動も行われていた。2020年にそのプロジェクトも完結している。

11 TAKE ME AWAY / MAZERAN

初聴き。

 

このアルバム唯一の日本人と外国人(調べによるとアメリカ人らしい)の混合バンド。ボーカル・ギター・ベースが海外の方。

もう一人のギタリスト根本尚斉藤哲也 (現tezya)がボーカルを務めたFIXDIE IN CRIESのベーシストTAKASHIらと結成したFAMEのギタリストとしても知られる。

 

アメリカンな空気を味わえる湿った広大なロックナンバー。ボーカルがネイティブな方なので歌メロは自然。Bメロは雰囲気あるんだけど、サビが少し残念な気もする。