深海DIARY

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【アルバム感想】『SWEET PUNKS』 ZYYG

ZYYG 3rdアルバム

1997年8月20日 リリース

SWEET PUNKS

SWEET PUNKS

  • アーティスト:ZYYG
  • ビーグラム
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収録曲

01 SO WHAT?
02 MAD CITY GANG
03 Weather Love
04 渾身
05 TOKIO SLAM
06 LULLABY
07 BORN TO BE COOL
08 SERIOUS
09 Something
10 LADY MOON
11 この情熱のそばで

概要と感想

ZYYG3枚目のアルバム。結果的に再結成前のラストアルバムとなった。

 

アルバムリリース後も精力的にライブ活動は行っていたようだが(Being系アーティストにしては珍しく、ライブ告知のペーパーも付属している)、98年は新曲のリリースが無く、99年に「バンド内で音楽性のずれが生じ始め、話し合いを重ねた結果、個々の感性を無理に1つのバンドに収めないほうがよい(公式サイトより)」ということで12月に解散。

2006年にまさかの一夜限りの再結成。そして2019年に再々結成をし、現在も活動中というBeing系アーティストではかなりイレギュラーな形でカムバックした。

 

バラード無し、キーボード系の音も極力減らし、生のロックを追求。全曲で生音を重視したソリッドなサウンドに。

 

余談を挟むが、筆者的には始めてのハードロック・パンクなアルバムが今作だったかもしれない。ロックなカテゴライズは既に親の所持していた尾崎豊とか、浜田省吾とか聴いていたし、小さい頃にハマってたBzの「イチブトゼンブ」とか同じBeing系のロックも聴いていたけど、パンク寄りなアルバムはこれが初めてかも。STALINやINUはもう少し後だった気がするし。

 

とにかく裏面の悪魔ジャケットにおののいた記憶を鮮明に覚えている。Beingっぽくないハードなジャケットだったから。で、家に帰ってCDラジカセで聴きながら歌詞カードを見れば、1曲目からアウトロー全開で、たじろいた。そんでもって、この派手なサウンドに気がつけば引き込まれていた。筆者も色々なアルバムを聴いてきたが、こんな経験は最初で最後だったかもしれない。そんな記憶がよみがえる。

 

話を戻す。

思えばZYYGはアルバムごとにカラーを変えてきた。1stアルバム『GO-WILD』 は栗林誠一郎が主導の下で制作されたアメリカンなロックアルバムで、2ndアルバム『Noizy Beat』では高山征輝が主導し、それぞれの曲にテーマ性を付け、Beingらしさを残しつつも、メンバーのサウンドを反映したブリティッシュロック寄りのアルバム。

そして、今作ではもうBeingという枠組みを取っ払ってただひたすらにロックな音を追求したというような究極の1作

 

Beingっぽさはほぼ皆無。サウンドプロデュースZYYGとしてとにかくハードでパンク。そしてめんたいロック!アウトローな作風に統一されている。その力の入れようはバラードであったり、恋愛模様を扱っていたカップリング曲を未収録にし、シングル曲の音源も手直しされたものが多いことからも伺える。

 

とにかくZYYGというバンドを貫き演奏するメンバーと、包み隠さずアウトローな歌詞と、迫力ある歌声を聴かせる高山さんというバンドの熱さと信念をそのままダイレクトに感じ取れるようなアルバムで最初から最後まで聴きごたえ満載。

 

コーラスに関してはZ♂♀G GANG ROCKERSというクレジットとなっている。どんな人たちが参加してたんだろうか。男性コーラスも女性コーラスもあるけど。

 

コーラスを除いて外部ミュージシャンがクレジットされておらず、こだわりにこだわった4人のサウンドだからこそ、長く聴かれ、愛される名盤なんだと実感する。

 

セールス的にはオリコン100位圏外という結果だったんだけど、Being系アーティストという看板が、本来の聴かれる層にまで浸透していなかったのかなぁ、と後々思ったりもするんだよね。

CRAZEとか好きな層には刺さりそうだし。97年はSIAM SHADEがヒットしたり黒夢もパンク路線に切り替えた頃だったし、こういうロックはまだ需要あったような気がする。

Pickup Songs

01 SO WHAT?

曲の感想はシングル感想を参照。

02 MAD CITY GANG

筆者的にはM01よりも衝撃を受けた1曲。

ストレートに悪かったな!良かったな!社会に唾を吐いたような歌詞が痛快。

 

モラルとか関係ねぇ、エリート街道とか知らねえ!学が無くても楽しけりゃそれでいいんだ!とめちゃくちゃアウトローな歌詞で最終的には「棺桶にオレやオマエが入る時 笑っているのはオレの方だろう」と嘲笑して終わるっていうのが初めて聴いたときに衝撃的だった。

ドストレートすぎる、まさにMAD CITY GANG。

 

間奏部分でWANDS「WORST CRIME 〜About a rock star who was a swindler〜」みたいに語りを同時再生させているが、この語りの内容ってなんなんだろう。

そしてギターソロは滅茶苦茶暴れてます。

 

MVはポリゴンショックのようにチカチカしているので視聴の際は注意。

MAD CITY GANG

MAD CITY GANG

04 渾身

ZYYGの曲の中じゃ一番ベースがメインな曲かも。Aメロ部分ではほぼほぼベースとドラムの重低音サウンドで非常にダウナーでヘヴィなサウンドが特徴的。

 

サウンドが非常に暗いが、歌詞も暗く、「Over the black fence」と同じくリアルな工場現場を描写した1曲だが、「渾身」は職場の同僚(2番の内容的にそうだと思う)がビルから飛び降りたことをTVで目の当たりにして「自分を殺して他人(ひと)と付き合うこと」に対する人間の二面性を痛烈に書いた内容となっている。

 

「Over the black fence」同様、リアルな描写で実体験かそれに近い経験をした、もしくは聞いて出来た曲なんだろうか。

「なんの不自由もない その事が逆に不自由で こんな時代で 転がる石にはなりたくない」と全体的に冷たい歌詞だが、その冷たさが逆に心理を突いているのか。

 

渾身

渾身

  • provided courtesy of iTunes

 

06 LULLABY

曲の感想はシングル感想を参照。

 

表記が無いがアルバムバージョン。シングル感想にも記載したが、エッジの聴いたエレキギターが押し出たミックスに変更されている。

ギターの聴こえる場所など色々と変更点があるのでシングルバージョンと聴き比べすると面白い。

LULLABY

LULLABY

08 SERIOUS

これまたダウナーな曲調な1曲。この曲も筆者にとってはこのアルバムで一番衝撃的な曲だった。

 

まず、歌詞が若干複雑だが、筆者的に整理するとこの曲は

 

<社会問題が叫ばれているけど、そんな大変なことよりも、まず自分の大切な腕時計や夢が見つからない。国や社会問題はどうにかなるだろうと置いといて、自分の物や夢探す、そんな自分は嫌な奴かい?>

 

ってことなのかな、と思う。あくまで筆者の解釈だが。

非常にダウナーでアウトローな歌詞で井上陽水「傘がない」みたいなテーマ。都会で若者が死んでいくけど、それよりも傘がないから君に会いにいけないんだ、みたいな。

 

やつれ顔の聖母(マリア)に「もうすぐこの惑星(ほし)も消えてしまう」

翼の無い天使に「天国はだれでもタダだよ」

 

そう言われても、自分の大事な腕時計や夢を探している僕は嫌な奴なのかい?と問うた歌詞は非常に衝撃的だった。ある種、人間にとっては禁忌な本音と建前な問題に踏み込んだ作品だと思う。

 

社会問題に目を背いて腕時計や夢を探すことを自分勝手と捉えるか、社会問題の事はわかるんだけど、それでも探すという罪悪感と自分の世界の小ささを憂いていると捉えるかはリスナー次第か。そもそも高山さんがどこまで考えて作っていたかにもよるが。「傘がない」も井上陽水本人はただ周りが政治の季節だったから、と発言してるし。

 

こういう歌詞をBeingのアーティストが書くのか、って衝撃もあったが、一番の衝撃はアウトロ。

 

「こんな僕は 悪い奴かい? いつも僕は誠実なのに」

「こんな僕は イヤな奴かい? いつも僕は正直なのに」

とフレーズを繰り返していく。最後に「こんな僕は イヤな奴かい?」で終わるんだけど、最後にはアカペラになるって演出が怖い。

 

ちなみに、AメロA’メロの歌詞(a Serious Happening~の後に続く歌詞)にある出来事は全て、当時の時事ネタ?なのか図書館やネットでざっくりリリース当時前後の話題を調べると、歌詞のモデルとしたようなものがあり

 

最初のフレーズはジョンベネちゃん事件(96年の事件で歌詞の出来事と似ている。詳細はググってください。父親によるもの、という説があったらしく、歌詞の描写と一致する。)

 

次は北朝鮮(飢餓に苦しむ隣の国という描写から)

 

次は○○交際+オヤジ狩り(字面で察する。社会問題化としてピックアップされたのが96年で○○交際に関しては流行語にもノミネートされている)

 

最後のフレーズだけわからなかった。

 

「この街じゃ なんでも『とりあえず』でカタがつく。過去も未来も『とりあえず』永遠にそうだろう」って何を指してるのか。色々と日本の政治家による外交処理のことを指しているのかな?と思ったりしたが、確証が持てなかった。

 

上3つが96年のエピソードなので、おそらく96年のナニカを指すと思うんだけど。リリースが97年8月に対して時事ネタは96年のものばかりということは、結構早い段階で作詞してたのかな、とも。

 

それ以外の部分も、あくまで筆者調べによる憶測なので、正しいかどうかは不明です。

正確な答えを知っている人がいれば教えてください。

 

サビの一気に墜ちていく感じが怖くて良いです。

サビ部分の女性コーラスは何を言ってるんだろう。

 

あとこの曲、YouTubeのBeing公式チャンネルの「MVダイジェスト」で紹介がないが、後藤さんのTwitterではMVらしきものがツイートされており、映像作るぐらいには自信作だったのかも。

SERIOUS

SERIOUS

09 Something

曲の感想はシングル感想を参照。

 

表記が無いがアルバムバージョン。シングルバージョンとの聞き分けは、安易な方法ならイントロにジーとノイズのようなものが鳴っているのがシングルバージョン。

 

アルバムバージョンはベースの音がべべベン!とシングルバージョンよりも生な感じになっているのが特徴的。ドラムも同様。

 

あとキーボード(?)を一部カットしたのかな。サビで聴こえたキーボードが聴こえない。アウトロの部分も小さくなっているような(他の音が大きくなった結果かもしれないが)。

Something

Something

10 LADY MOON

このアルバムでは異様な軽めのサウンドという跳ねたシャッフルテイストな曲。

実は同じようにシャッフルナンバーな布袋寅泰の「POISON」とベースラインが似ている。POISONのイントロとLADY MOONのAメロ部分とか。

 

どの曲もハードなパンク路線だったのに、突如、それらと相反する軽めのノリなサウンドはむしろ通しで聴いていると怖さを感じてしまうのは筆者だけだろうか。

 

フェードアウトして終わっていく曲の感じから、この曲がラストでも良いかもしれないんだけど、こういう軽めの曲をワンクッション置くことで、エモーショナルなM11がより極まって聴けるのかな、と思う。

 

小ネタだが、「ハンドル」「微笑」というワードはM11でも登場する。同じワードが次の曲でも連続で登場する流れって珍しい気が。

「LADY MOON」「強気なハンドルさばき」で彼女に会いに行き、「この情熱のそばで」では「人込みをさけてハンドルを切って」で彼女に会いにいくのだ。

LADY MOON

LADY MOON

11 この情熱のそばで

曲の感想はシングル感想(M01「01 SO WHAT?」)を参照。