WANDS 2ndシングル
1992年5月13日 リリース
概要
WANDS2枚目のシングル。
ついに作曲と編曲が大島こうすけとなり完全自作に。シングル表題曲とカップリングが大島カラーに染まったシングル盤で、2ndシングルながら、やっとWANDSというユニットが始動したような感じがする。
『OH!エルくらぶ』という素人参加型情報番組のタイアップだったようだが、前作のドラマタイアップの方が力が入っていたのか、本作はチャート順位80位と苦戦を強いられ、WANDSにとってはチャート最下位の記録となっている。
とはいえ、WANDS5期のシングルよりも枚数は売れているが、これはCD不況な時代背景が影響していうのは明白か。
『WANDS BEST 〜HISTORICAL BEST ALBUM〜』のヒストリーノーツや『『vocal compilation 90's hits Vol.1 〜male〜 at the BEING studio』のライナーノーツには「2ndシングルの候補として「ふりむいて抱きしめて」「時の扉」「White Memories」の3曲が候補として存在した」と記述されている。スタッフは「時の扉」を進めたが、「ふりむいて抱きしめて」に他の多数が指示した、ということで決定されたらしい。
他の多数、という表現が曖昧な感じだが、『WANDS BEST 〜HISTORICAL BEST ALBUM〜』によれば、「メンバーがダンサンブルチューンにしようと」とあるので、メンバーの意向が大きかったのかも。
このシングル盤も再発されたB-gramのものと、TMファクトリーから発売されたものがある。
筆者が所持しているのは再発前のTMファクトリー盤。
01 ふりむいて抱きしめて
作詞 上杉昇
作編曲大島康祐(大島こうすけ)とようやくWANDSの形が見えてきた記念すべき1曲。
大島さんのカラフルでダンサンブルなキーボードが華やかでノリのいい曲調。サビは一度聴いたら離れないようなキャッチーさがあり癖になる。
第1期の段階では大島こうすけがイニシアティブを持っていたユニットなだけあって、大島さんのキーボードが全体的に際立つ一方で、柴崎さんのギターはオシャレなカッティングを駆使するなど、キーボードを邪魔しないギターに徹している印象で、このパワーバランスが2期にはない1期の大きな特徴であることは、この曲を聴けばすぐにでも理解することができる。
歌詞には鍵括弧が複数あり、男女のセリフを分かりやすくして、トレンディでバブリー感が満載な歌詞に。
語尾の統一を意識したサビでの言葉運びはコミカルで面白いし、統一感があるからこそ、メロディーの時点でキャッチーなサビを、言葉でもキャッチーにさせていると思う。
歌詞の中で注目すべき点が「強いアルコール」という2番出だしの部分。
WANDSは「アルコール」というワードと縁があり、2期では「時の扉」に、「ふりむいて~」と同じく「強いアルコール」というワードがある。そして3期では「Brand New Love」で「アルコールは偉大なる」と歌詞に登場するっていう。まぁ3期の時に関しては作詞が坂井泉水によるものなので、偶然だとは思うが、このように縁のあるワードなのだ。
シングル曲ということもあってかベストアルバムに収録される機会も多かったが2000年以降のWANDS後期〜解体以降のベストアルバム『BEST OF WANDS HISTORY』や『complete of WANDS at the BEING studio』『BEST OF BEST 1000 WANDS』には収録されなかった。
一方でオムニバス形式である『vocal compilation 90's hits Vol.1 〜male〜 at the BEING studio』には唐突に収録された。
02 Baby Baby Baby
大島さんの趣向からブラック・コンテンポラリーな1曲、というべきなんだろうが、筆者的にはソウルでありレゲエ音楽のような印象を持った1曲。
上杉さんの歌唱も、この曲ではレゲエでソウルフルに聴こえる。『Royal Straight Soul III Vol.1』でもレゲエ風なカバーを披露していたが、ボーカルの感じはそれに沿ったような雰囲気。
ユラユラとした曲の進行と大人の雰囲気、そして大島イズムを感じる(?)中南米のノリが良く、そして暑さを染み込ませたようなサウンドは中々心地よいのではないだろうか。
この曲も大島さんだからこそ、なアレンジが強いが、特にそれを感じるのは、サウンド面だけにあらず、女性コーラスと上杉さんのボーカルのからませ具合にもあると思う。
WANDSで女性コーラスとフューチャーした代表曲として「世界中の誰よりきっと」があるが、その曲で見られたテイストとは違う、セクシーでソウルフルな感じを演出させている。この演出具合が大島さんならではの手腕だと思うし、この曲の最大の特徴だと思う。
そういった視点から、この曲はもっと評価されてもいいのではないだろうか。
リアレンジをして5期でセルフカバーしたら面白そうなんだけどね。
随所でキンキ~ンと金属音みたいなのが鳴っているが、これってシンセベルか?グロッケンか?
大島さんってこういう音を鳴らすの好きな印象ある。SO-Fiでも鳴らしてるし。
シングル盤にコーラスのクレジット記載がないので、誰だか不明だが、「ふりむいて抱きしめて」と『WANDS』に参加している岩切玲子かな。流れ的に。
ラストサビでは転調をして上杉さんのボーカルが更に伸びやかになるのは流石。
転調とフェードアウトを大島さんはWANDS時代、多用している。
アルバムでは未収録だったが『BEST OF WANDS HISTORY』に「ふりむいて~」を差し置いて収録された。急に収録された理由は不明だかBeing的には好んでそうな雰囲気ある曲だとは思うんだよね。『Royal Straight Soul』シリーズ出してたぐらいだし、こういう曲調は好きそう。
03 ふりむいて抱きしめて(オリジナル・カラオケ)
コーラスあり。岩切玲子さんのコーラスが聴きたい人にオススメ。案外低い感じでコーラスしてたんだな、と。
演奏を聴いていると、後の「真っ赤なLIP」を思い出させるような。