深海DIARY

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【アルバム感想】『WANDS』 WANDS

WANDS 1stアルバム

1992年6月17日

 

WANDS

WANDS

  • アーティスト:WANDS
  • EMIミュージック・ジャパン
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収録曲

01 ふりむいて抱きしめて

02 Cloudy Sky

03 寂しさは秋の色

04 もう 自分しか愛せない

05 Good Sensation

06 この夢だけを…

 

概要と感想

WANDS1stアルバム。そして第1期WANDS唯一のアルバム。

このアルバムに関する告知は既に『ホテルウーマン オリジナルサウンドトラック』でされていたが、その際は『WANDS1』とナンバリングが付いていた。

 

M03以外は大島康祐(大島こうすけ)が作曲(M05は柴崎との共作)と編曲を全て行っており、大島さんのイニシアティブが強い1作となっている。

 

「"90's Rock" 未来形」という帯のキャッチコピーが印象的だが、大島さんのブラック・コンテンポラリーな音楽志向の下、ファンクだったりダンサンブルだったりと多彩なキーボードサウンドに、柴崎浩の時にはハードで時にはテクニシャンな幅広いギタープレイ、そして新人ボーカリストながら力強い伸びやかなボーカル上杉昇と、それぞれのプレイングが遺憾なく発揮されたデビューアルバムといった印象。

 

Beingのデビューアルバムは基本的に複数のアレンジャーが参加して、作曲も複数なことが多いが、大島さんがマルチプレイヤーで作編曲を統一しているのもあって、アルバム全体としてまとまっている。

明石昌夫の編曲したM03だけが浮いてしまっているが、まぁデビューシングルということで抜くわけにはいかないという判断か(正直「Baby Baby Baby」をM03にした方が、自然に感じるけど、「寂しさ〜」があるから方向性がバラけてバライティに富んだのかもしれない)。

 

メンバーの構成的にTM NETWORKをBeing側は目標としていたのかな(B'zも初期は影響受けてたし)といった感じはするが、キーボード主体ながら異端児なサウンド。

エレクトロな雰囲気あるキーボードから、ファンキーなギターだったりと、サウンドメイキングは非常に凝っていると感じるし、1stながらクオリティは高いと思う。

 

このアルバムを手に取る多くのリスナーはWANDS2期からのファンやBeingファンを入り口にして聴くのが多数だとは思うが、筆者的にはエレクトロやシンセポップ、電子音楽好きなリスナーにこそ、視聴するべき作品なのかな、と感じる。

 

筆者自身も、最初はWANDSのファンという側から手に取ったが、後々日本のテクノやエレクトロといったシンセサイザーや電子音を中心としたアーティストの作品を聴いていき、その後にこのアルバムを聴くと印象がガラリと変わり、その当時の電子音楽に左右されない自我を貫いたサウンドは、そういった電子音楽好きの人にこそ強く響くのではないかと思うのだ。何度も書いているが、音楽ジャンルを巧いこと融合させていると思う。

 

個性が遺憾なく発揮された、と先述したが、上杉さん的には音楽の趣味嗜好が違っていた中での制作だったんだろうけど、それを感じさせないぐらいのパフォーマンスを行っているのはプロだなぁと。上杉さんの自伝でも大島さんの才能は認めてるようだし。

 

また、上杉さんの自伝に柴崎さんと大島さんの関係について記述があるが「お互い認め合っていた関係であった」とあり、柴崎さんはWANDSとしてのデビューより前にスタジオミュージシャンとしてのキャリアをスタートさせていたという背景からも柴崎さんはバンドのメンバーとして自分らしさを出す、というよりはスタジオミュージシャンとして幅広い視点から求められた音を忠実に出していく一人のプレイヤーなのかな、と聖飢魔Ⅱでいうエース清水長官みたいな、と勝手に推測しているのだが(この傾向は2期WANDSやal.ni.coでの発言でも感じる)、そんな柴崎さんだからこそギターがガッシリとキーボードを支えて一体感があるんだと思う。

 

他者のブログやサイトのレビューでは「時代性を感じる」という意見も多い作品だが、筆者的には時代性云々よりも自我を貫いたサウンド、という印象が強く、やはり大島こうすけのカラフルでダンサンブルなサウンドは素晴らしいと思う。

 

一度「時代性」という言葉のイメージを取っ払って聴くと面白みが増すんじゃないだろうか。

 

ちなみに、大島さんアレンジの曲の終わり方はどれも似通っていて、フェードアウトして終わることが非常に多い。

このアルバムでもほとんどがそうで、SO-Fiにおいてもそうである。

Pickup Songs

01 ふりむいて抱きしめて

曲の感想はシングル感想を参照。

 

ふりむいて抱きしめて

ふりむいて抱きしめて

  • WANDS
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

02 Cloudy Sky

イントロのシンセがガラケーの着信音みたいだが、それはさておき。

本アルバムの中ではひときわ目立ってポップスなエレクトロっぽいダンサンブルサウンド

 

この曲でも「Baby Baby Baby」で見せたようなシンセベル(?)グロッケン(?)を多用しているが、とにかく明るくカラフルなキーボードサウンドが聴いていて気持ちいい。Cloudy Skyという割にはだいぶ明るい雰囲気の曲だが。

 

聴きどころはやはり、間奏のギターカッティングからのエレクトロなキーボードソロ。そこから組み合わせたギターソロ。大島さんと柴崎さんの息が合った掛け合いから、この曲の気合いをとても感じる。

 

ラストサビでは転調してもっと明るくなるが、ボーカルを持ち上げるようにキーボードが高くなっていくのが好き。

 

歌詞では「Dan Dan」「Zen Zen」といった表現がされており、FIELD OF VIEW「DAN DAN心魅かれてく」よりも早くDANDAN構文(勝手に命名)を使っていたという点は注目だ。

ZARDの坂井泉水さんは、この曲を参考にして作詞した、のかは不明だが。

 

Cloudy Sky

Cloudy Sky

  • WANDS
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

03 寂しさは秋の色

曲の感想はシングル感想を参照。

寂しさは秋の色

寂しさは秋の色

  • WANDS
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

05 Good Sensation

柴崎浩と大島康祐の共作で制作されたファンキーなロックナンバー。歌詞も非常に刺激的である。

 

第1期の曲ながら、上杉さん自身も好んでいたようで、2期のライブでもよく披露された曲(ラジオでは毎回演奏していたと発言している)と言われ、「PIECE OF MY SOUL」発売にあたって出演したラジオ番組(SURF&SNOW)でも、「(PIECE OF MY SOULと)テイストが近い」という理由で上杉さん自身がリクエストした曲でもある。言われてみれば確かにグランジロック風なメロディーではあるように感じる。そういった意味では上杉さんの趣向にも合っていたのかもしれない。生音重視でハードなバンド演奏にしても実際似合いそうだし。

 

歌詞が刺激的だが、ピアスしてジャパメタ聴いてグランジ聴いてた上杉さん的には、こういう刺激的で直接的な路線の方が自分らしさがあったのかもね。WANDS時代によく書いてた失恋の詞より。

 

ギターはストレートながらヘヴィでキーボードもパワフル。アウトロのギターソロがカッコいい。ビブラートをかけまくった歌声も刺激的な歌詞と相まってセクシー。

Good Sensation

Good Sensation

  • WANDS
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes