深海DIARY

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【アルバム感想】『complete of WANDS at the BEING studio』 WANDS

WANDS 4thベストアルバム

2002年8月25日 リリース

complete of WANDS at the BEING studio

complete of WANDS at the BEING studio

  • アーティスト:WANDS
  • ビーグラム
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『complete of WANDS at the BEING studio』

収録曲

01 もっと強く抱きしめたなら

02 時の扉

03 愛を語るより口づけをかわそう

04 世界が終るまでは…

05 恋せよ乙女

06 Jumpin' Jack Boy

07 Secret Night 〜It's My Treat〜

08 DON'T TRY SO HARD

09 錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう

10 WORST CRIME〜About a rock star who was a swindler〜

11 明日もし君が壊れても

12 このまま君だけを奪い去りたい

13 Same Side

14 世界中の誰よりきっと 〜Album Version〜

15 声にならないほどに愛しい

< Premium Track >

16 君が欲しくてたまらない 〜WANDS Version〜

17 寂しさは秋の色 〜LIVE ACOUSTIC Version〜

 

概要と感想

WANDS4枚目のベストアルバム。

『at the BEING studio』シリーズ第2弾。

全曲リマスタリング。ライナーノーツ付き。M16・M17はプレミアムトラック。

2012年にも廉価版がリリースされている。

 

WANDS解体後にBeing主導でリリースされた『at the BEING studio』シリーズによるベストアルバム。

ざっくりと今回のベストアルバムをまとめるとシングル曲+セルフカバー+プレミアムトラックという顔ぶれ。

唐突なアルバム曲(M08)は長戸大幸氏による提案で収録されたとのこと。

 

シングル曲はリリース順ではないが、冒頭4曲をミリオンヒットで固めている構図は潔くてシンプルイズベスト。

シングル曲の選曲は前作『BEST OF WANDS HISTORY』と被っているが、最低限の1期~3期シングルヒット曲を網羅しました、といった印象。

 

こう記述すると、前作『BEST OF WANDS HISTORY』からの変化を感じさせないが、特徴的なのは後半の選曲

上杉昇による提供曲(M14は共作だが)のセルフカバー音源をプレミアムトラックであるM16を含めて網羅した内容となっている。

 

この選曲が他のベストアルバムには無い内容となっており、前作『BEST OF WANDS HISTORY』がWANDSというアーティストを集約したベストアルバムであるのに対し、本作『complete of WANDS at the BEING studio』はBeingという会社とWANDSという1クリエイターといった側面が強調されているような気がする。

 

そもそもがビーイング主導、企画でコンパイルされたベストアルバムなのもあって、Beingという自社クリエイターを使ってグループ内で音楽を量産する、という独自の体制をアピールしたような内容。

 

WANDSというよりも上杉昇が作詞で何曲か提供を行い、提供先でいずれもヒットしているので、その辺のみ合わせセンスや会社ぐるみによる音楽制作の手腕を誇示したようなベストアルバムと言えるのではないだろうか。

 

ライナーノーツにもあるが、WANDSは元々Beingのヴォーカルスクールに通っていた上杉昇。Beingのオーディション(BADオーディション)に応募してギタリストとして活動を始めた柴崎浩に、既にキャリアのあった大島こうすけを組み合わせる、オマケにタロットカードの意味合いの他にW(Wesgi)&S(Shibasaki)の語呂合わせでWANDS、というWANDSの成り立ちは完全にBeingによって作り上げられた要素が強いので、会社主導によるベストアルバムでBeing色を前面に出してくるのも当然のことなのかもしれない。

 

もっと言えば明石昌夫が自身のYouTubeで「メンバー交代をしてもWANDを続けるのをどう思うか?」という質問に対して「ビジネスなんで(中略)WANDSというブランドは会社が作ったので会社の所有物」とキッパリ答えている点からしても、こうBeingによるWANDSといったベストアルバムがリリースされるのも必然だし、一定の意義があるのではないだろうか。

ある意味、会社が作り上げたグループだからこそ、今の5期WANDSのフットワークの軽さに繋がっているんだろうし・・・。

 

ただ、後半セルフカバーが続くと思いきや自作曲であるM13が挟まっているのは微妙な気が・・・。普通にセルフカバー曲だけで固めるわけにはいかなかったのか。

M13がなければM16まで一気にセルフカバー集として聴けるのだが。

 

また、未発表であったM16が収録されたことで、上杉昇単独による作詞提供曲はMi-Keに提供した『Please Please Me, LOVE』のみが音源化されていない状態になっている(単独ではないものだと「果てしない夢を」と「雨に濡れて」もある)。

 

ちなみに、< Premium Track >として未発表曲が収録されているが、本シリーズ(『at the BEING studio』)ではもう1曲、未発表が『vocal compilation 90's hits Vol.1 〜male〜 at the BEING studio』において< Premium Track >扱いで収録されている。

WANDSの未発表曲を分けて収録しているのは商売上手である。

だが、リンク先でも触れている通り、『vocal compilation 90's hits Vol.1 〜male〜 at the BEING studio』にWANDS曲を3曲も収録するぐらいなら、本作に収録して、他の男性アーティストの音源を増やしてほしかったところ。

Pickup Songs

16 君が欲しくてたまらない 〜WANDS Version〜

プレミアムトラック。

上杉昇&織田哲郎という並びで提供されたZYYGデビュー曲のセルフカバー

ZYYG版ではメンバーであった栗林誠一郎がアレンジを手掛けていたが、WANDS版は葉山たけしがアレンジを手掛けている。

 

M12・M15と同時期に提供されていた1曲。いずれも織田哲郎作曲によるCMタイアップのシングル曲だった。

 

M15は2枚目のシングルだが、M12と本曲はデビュー曲として採用されており、DEENとZYYGのデビューの経緯はタイアップの際に何人かに歌わせ、採用されたボーカリストがそのままユニットを組んでデビューというものだったので、上杉さんも、もしかしたら歌ってて、気に入られたらそのまま本曲をWANDSシングルとしてリリース、みたいな形はあったのかもしれない。

 

ライナーノーツによると『Little Bit…』に収録するか議論されたがお蔵入りなったとのこと。

 

ZYYG版は栗林誠一郎の意向が反映されたような太いロックサウンドで、栗林自身がベーシストなのもあってベースが効いたアレンジだったが、WANDS版では従来の打ち込み+楽器隊といったサウンド。

ZYYGよりキーボードが目立っており、全体的にスタイリッシュ。

 

ダイナミックなZYYG。スタイリッシュなWANDS、と両者にそれぞれの良さを感じさせる。

そしてWANDS版を聴くと栗林誠一郎のコーラスの定評っぷりを再確認できるような気がする(上杉コーラスがダメという訳ではなく、栗林さんの多種多様なコーラスっぷりを感じて)。

君が欲しくてたまらない (WANDS Version)

君が欲しくてたまらない (WANDS Version)

  • WANDS
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

17 寂しさは秋の色 〜LIVE ACOUSTIC Version〜

前作から続く、ライブ音源。

 

アコースティックバージョンということで、キーボードとアコースティックギターのシンプルな編成で歌いあげられたデビュー曲。

伸びやかなボーカルで上杉さんの生のボーカルぶりを感じ取れるライブ音源。

 

1番しか歌われていないので2分弱で終わるが、味わい深い音源である。

寂しさは秋の色 (Live Accoustic Version)

寂しさは秋の色 (Live Accoustic Version)

  • WANDS
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes