深海DIARY

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【シングル感想】『抱き寄せ 高まる 君の体温と共に』 WANDS

WANDS 17thシングル

2020年5月20日 リリース

概要

WANDS17枚目のシングル。

5期WANDSとしては2枚目。

4枚目のシングル『時の扉』以来のドラマタイアップが付いた。

 

初回盤盤・通常盤の2種類がリリースされ、それぞれカップリング曲が違っている。

また、初回盤はライブ映像(3曲)とオフショットが収録されたDVD付き。

通常盤はMVメイキング視聴シリアルコード(8月まで)とフォトカード3種類のうち1枚(ランダムで1種類)が収録されている。ちなみにこのフォトカードは温めると写真が浮かび上がる仕様となっており、シングル曲のタイトルとかけているようだ。

 

前作とは違い、今作は配信では3曲同時に収録されており、その影響からか、ジャケットデザインが通常盤仕様ながら少し色彩が違っている。

01 抱き寄せ 高まる 君の体温と共に

柴崎浩作編曲ソング。

11thシングル「WORST CRIME〜About a rock star who was a swindler〜」以来となる柴崎浩作曲・編曲。

 

「ヒットシングル“もっと強く抱きしめたなら”を彷彿とさせる、POPなメロディーに真摯な言葉が響くラブソング。」と評されたように、ストレートで爽やかな、そしてどこか90年代を彷彿とさせるようなメロディを感じさせる1曲。

 

「WORST CRIME」やその後のal.ni.coではヘヴィな作曲、編曲を趣向としていた柴崎だが、どこか「売れ線」を基調としていた部分が彼の中にあったのか、al.ni.coを脱退し、上杉昇と袂を分かつようになってからはヘヴィさよりもキャッチーさを追求したような提供曲も多く、そのキャッチーさは反町隆史や相川七瀬などへの楽曲提供を経てabingdon boys schoolに繋がっていると思うんだけども、今作はそういったキャリアを経て、柴崎浩が思う最もポピュラーなWANDSサウンドを彼なりに再現したようなサウンドという印象。

 

柴崎さん自身、2期WANDSの頃から作曲していたが、世間一般のWANDSサウンドといえば、それこそ本作にカップリングされている「愛を語るより~」や「世界が終るまでは…」「世界中の誰よりきっと」といった織田哲郎作曲によるシングル、そして「もっと強く抱きしめたなら」「時の扉」といったミリオンヒットソングに集約されており、柴崎流というよりも俯瞰的にWANDSのミリオンヒットソングをイメージして落とし込んだような、柴崎流織田哲郎ソング的な、キャッチーさと90年代風という2つの要素が合体して出来たような印象を受ける。

 

一方で90年代の頃の売れ線J-POP方程式とは違い、イントロが短くそのままサビから始まり、間奏のギターソロは無く、アウトロにギターソロを被せてあっさり4分と短く曲が終わるのは近年(2020年代)の売れ線J-POP方程式というべきか。

多分90年代にこの曲をリリースしていたら間奏にギターソロを入れて4分30秒前後に収まっていたんじゃないかと思う。

 

正直、サビのキャッチーさは好印象な一方でシンプルすぎる曲の構成は薄味にも感じてしまい、4分台と短い曲ではないものの、体感で短く満足度が低いと思った。

 

前作「真っ赤なLip」は1期大島テイストを残しつつ、5期という新境地で、ジャジーなアレンジやリズミカルな歌詞、ボーカルといった様々な部分で新鮮味を楽しめたが、本作は90年代風なサウンドを令和の時代に甦らせた、その点ぐらいしか新鮮味を感じず、普遍的と王道的、それらが良くも悪くも紙一重な楽曲だと捉えてしまった。

 

嫌いではないんだけれども、むしろ好きなんだけども、過去を意識しすぎたというか、90年代風のサウンドに最初は感動したものの、聴き馴染んでいくと過去と現在のWANDS進化の過程が薄くした原点回帰な保守的な1曲なのかな、とも思った。

 

でも2枚目というタイミングで前作のアバンギャルドに対して保守的に地固めをするっていう戦略は適切だったようにも思う。次作のCDリリースはアルバムだったし。

WANDS「抱き寄せ 高まる 君の体温と共に」 MV - YouTube

「サイレント・ヴォイス 行動心理捜査官・楯岡絵麻 Season2」 主題歌 WANDS「抱き寄せ 高まる 君の体温と共に」 - YouTube

抱き寄せ 高まる 君の体温と共に

抱き寄せ 高まる 君の体温と共に

  • WANDS
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

02 Just a Lonely Boy 〜WANDS 第5期 ver.〜(初回限定盤のみ)

第2期WANDS楽曲のセルフカバー。

柴崎浩によるリアレンジ。

 

通常盤に収録された「愛を語るより口づけをかわそう 」はあらかじめレコーディングが決まっていたが、スタッフに「もう1曲」と言われ時間が無い中でセレクトしたと語られている。

 

元は「世界が終るまでは…」のカップリング曲。

 

前作『真っ赤なLip』で正に「大船に乗る」かの如くミリオンヒットソングをセルフカバーして収録していた中、カップリング曲を、それも表題曲があの「世界が終るまでは…」でリリースしたタイミングがWANDS2期のロックサウンド転換期だったこともあり、93年から続くポップ路線を更にブラッシュアップした1曲ながら上記2つの要素によって埋もれてしまったような1曲であるこの曲を早々にセルフカバーしたのは驚いた。

 

実はお披露目ライブ前からリアレンジしていた事が明かされており、メンバー側が元々気に入ってたのかもしれない。

 

オリジナルから大きくアレンジを変えたバージョンもあったようだが、最終的にはオリジナルに忠実なアレンジが採用されており、オリジナルをそのままブラッシュアップしたような感じに(Bメロ部分だけイジったようだ)。

細かい所を比べると女性の微笑みSEの挿入箇所が変わっていたり咳き込みのSE等が左右逆だったりする。

 

全体的にオリジナルと比べるとキーボードがマイルドになっていてその分ギターがオシャレに(特にいじったBメロ)なっているが、サビ前はオリジナルのキーボードがダーーーフィン!って締めるテイクの方がカッコよかったようにも思う。

Just a Lonely Boy 〜WANDS 第5期 ver.〜

Just a Lonely Boy 〜WANDS 第5期 ver.〜

  • WANDS
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

02 愛を語るより口づけをかわそう 〜WANDS 第5期 ver.〜(通常盤のみ)

第2期WANDS楽曲のセルフカバー。

原曲はミリオンヒットソング。こちらも柴崎浩によるアレンジ。

 

こちらもオリジナルを踏まえつつ現代的にブラッシュアップしたようなリアレンジ。

 

ギター、キーボード共に細かい演奏パターンが変わっており、イントロから分かるようにキーボードがオリジナルよりも全体的に控えめになりギターサウンドを中心としたストレートなロックチューンになっている。

 

オリジナルはキーボードが全体的に跳ねていてサビ前ではダダダ ダダダッって鍵盤を叩いていたが、5期Ver.ではAメロBメロ部分ではオシャレに、サビ辺りはギターに主役を譲るように裏で支えている。

 

個人的にはオリジナルにあったサビ前のダダダ ダダダッっていうのがインパクトがあったので5期Ver.ではそこがギターだけになっているのが残念というか、全体的にキーボードが引っ込んだのは残念だった。

記事を書くに際して聴きなおしてみると、やっぱりサビ前とサビのキーボードが引っ込んだので薄味というか音の寂しさを感じる。

 

音楽においてキーボード(特にシンセ系)とドラムは音に時代性が出やすいし、そういった影響だろうか。