ZYYG 8thシングル
1996年11月18日 リリース
概要
ZYYGの8thシングル。前作ではマキシシングルでのリリースだったが、今作では8cmCDへと戻った。
01 Something
『GYPSY DOLL』と同じくキーボードを若干少しフューチャーさせつつも、ソリッドな音楽感が増した1曲。
シングル盤にも収録された『SWEET PUNKS』にもキーボーディストがクレジットされていないので、誰が弾いているのかは不明だが、これまでの流れだと池田大介と加藤貴也が参加しているのだろうか。
サウンド的には『GYPSY DOLL』の延長線でもあり、『SWEET PUNKS』でみせるハードなパンキッシュさもあり、という第2期ZYYGの転換期といえるようなサウンド。
ただ、このシングル盤をリリースした段階では『SWEET PUNKS』で演奏される生々しい硬派なパンキッシュサウンドといった方向性はまだ定まっていなかったのかな、と後から思ったり。
高山さんがZYYG初期からテーマにしてきた「壊したい現実」という自問自答でたどり着いた一つの答えのようなあ1曲。
筆者は勝手に「壊したい現実」三部作と呼んでいて、「壊したい現実」で縛られた現実からの脱却を夢見て、「GYPSY DOLL」でイラ立ちをCrashしたい気分と爆発し、「Something」でそれでも現実を突き付けられるんだけど、君の前だけは素直になれる、っていう連続したストーリーのエンディングなのかな、と。
壊したい現実で「「今だけを見つめて」と彼女の台詞響くけど」って歌詞があるが、Somethingの「素直になれる君」はこの彼女なのかなと。
GYPSY DOLLでは彼女の描写がない。響いた言葉を残してただひたすらに「たかが自分されど自分」と飛び出し、現実にもがいた主人公は、最終的に戻ってくるんだけど、彼女は待っていて「不確かな己を恥じたならば 君の瞳に覚悟する」という冒頭の歌詞につながっているのでは、と筆者は勝手に解釈している。
ポエマーな筆者の勝手な解釈なので、高山さんが意図していたかは不明だが。
歌詞は打ちひしがれた主人公とそれに優しく寄り添う君をテーマにしており、全体的にセンチメンタルな歌詞。
それでも最後には「あふれ出る情熱色の 夢(あした)よ笑え!」と叫ぶ詞は高山さんの歪みない信念なんだろうな、と思う。
02 CRYING MOON
ZYYG史、いや、ロック史に残るであろう大名曲。
Dreamerなどを手掛けた後藤康二が生み出した、彼の1つの到達点ともいえるような泣きのロックバラード。
こんな名曲をアルバム未収録にするなんてニクイ、というかそれほど『SWEET PUNKS』はサウンドもテーマ性も妥協したくなかったんだろうな、と思う。
先述してあるように、この曲を聴いても、この曲をリリースした段階では『SWEET PUNKS』のサウンドはまだ構築されていなかったように思うが、同時に「絶対に誰も」から続いたサウンドに別れを告げたようにも、最近聴きなおして感じた1曲。
「永遠の記憶に顔をうずめて 君の残り香を探す」など、高山さんの歌詞もだいぶ詩的な内容。それでいてカップリング曲。ZYYGは栗林在籍の時からカップリングはバラードが多かったが、ロックで勝負したい、というZYYGの強い信念を感じる。
サビで一気に爆発させるアッパーの聴いたロックバラードだが、それと同時に切なさも感じるサウンドなのが、ただ壮大なロックバラードではなく、ZYYGらしい。
後藤康二の1st Solo「ck510 SOFA Listening」にてインストという形でセルフカバーされている。ギターとストリングスの融合したサウンドも素晴らしい。ZYYGのメンバー加藤直樹がベースで参加。
余談だが、筆者がZYYGと出合ったのは10年ほど前になるのだが、当時はZYYGがiTunesなどに音源を配信しているわけでもなく、謎にここ数年、近所の中古ショップや某CDショップ等で8cmCDを扱いだしたが、ZYYGと出合った当初は8cmCDと出合う手段も少なかった。
で、「BEST OF BEST 1000」のレンタルがキッカケでZYYGにハマり、アルバムはすんなり集まったものの、8cmCDのアルバム未収録音源を視聴する手段がなく(某動画サイトにアップされることもなく)、存在さえもスルーしていたが、ニコニコ動画でZYYGを検索すると、「ZYYG - Discography!」という全曲を30秒ほど視聴できる動画があり、この曲が流れたとき、ビビッときてすぐさま新品をAmazonで購入した覚えがある。それぐらいには衝撃的な曲だった。