深海DIARY

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【アルバム感想】『DANGER』 44MAGNUM

44MAGNUM 1stアルバム

1983年12月21日 リリース

DANGER

DANGER

  • アーティスト:44MAGNUM
  • イーストウエスト・ジャパン
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『DANGER』

収録曲

01 I'M ON FIRE
02 YOUR HEART
03 THE WILD BEAST
04 YOU LOVE ME, DON'T YOU?
05 NO STANDING STILL
06 DIRTY LADY
07 BABY, COME TOGETHER
08 AT LAST I'M A FREE MAN
09 SATISFACTION
10 I DON'T KNOW WHAT YOU SAY [BONUS TRACK] ※2002年紙ジャケットイリシューに際して収録。2012年、16年の再発盤でも収録されている。

 

概要と感想

メンバー

梅原“PAUL”達也(Vo)
広瀬“JIMMY”さとし(Gt)
宮脇“JOE”知史(Dr)

吉川“BAN”裕規(Ba)

 

EARTHSHAKER・MARINOとともに関西3大メタルバンドと称された44MAGNUMの1stアルバム。筆者が所持しているのは12年紙ジャケットリマスター盤。

 

ジャパニーズ・メタルの歴史において、44MAGNUMの誕生はとにかく華麗で派手であった。

メンバー4人には横文字のステージネームがあり、ケバケバしいグラムなメイク、そしてメンバー全員が金髪に染めるというインパクトの大きさは、当時のジャパニーズ・メタル界のみならず、後のヴィジュアル系にまで影響を及ぼしたことはD'ERLANGERのメイクなどを見ればわかる。

 

実際、日本のメタルバンドでメンバー全員が金髪なのって、44MAGNUMが元祖な気がする。LOUDNESSなど、当時のメタルバンドは、俗にいうメタルヘアーをどのバンドもしていたけど、黒髪だったし。

 

44MAGNUMの派手さはメイクのみならず、大阪に存在した伝説のライブハウス「ザ・バーボンハウス」にて「3曲入りソノシート付きコンサート」を行ない、 ライブハウスの動員数としては日本新記録の550名を動員を、メジャーデビュー前から樹立するなど、関西において爆発的に流行っていたジャパニーズ・メタルブームの中でひときわ目立つ存在だったことは、関西3大メタルバンドと言われていたことからも理解できよう。

 

そんな、新進気鋭のジャパニーズ・メタルバンド44MAGNUMの1stアルバム。

 

1曲目から重厚なリフをかき鳴らすスピードチューンでかつ、軽快さも見られるサウンドを演奏し、そのまま一気に突っ切っていくんだけど、M04でその流れを断ち切るように約8分ほどのロングソングで、溜めに溜め、M05からまたも一気に突っ切っていく。

LPの時代にリリースされたのもあって、A面B面って境目を大いに感じる曲順というべきか。

 

それでいて、44MAGNUMといえばLAメタル、と称されることも多いが、この1stアルバムのサウンドは面白いと思う。

M01でキメるようなスピーディーなメタルにM03のようなヘヴィメタル。そしてM04のようなブルース+メタルなサウンドとか、1stアルバムながら多彩なサウンドで構成されているが、それで音がとっ散らかることなく、まとめ上げている辺りが、バンドの勢いを感じさせる。

 

まさに衝動を詰め込んだデビュー作。これを83年という歌謡曲や歌謡アイドル全盛期にリリースしていたんだから、大したものである。

ZIGGYとかが好きな人におすすめ。といってもドラムの方は後にZIGGYのメンバーになるんですけどね。

Pickup Songs

01 I'M ON FIRE

44MAGNUMの代表曲の一つ。オープニングナンバーからアクセル全開で一気にアルバムの中に引き込まれる。

最初から最後まで、同じパターンのリフで進んでいくが、それを単調に感じさせず、キャッチーでヘヴィ。

 

特にギターソロからのドラムパートを組み込んでまたギターソロをするっていうドライブ感が最高。

「オマエに会いたい今すぐ〜」って感じはものすごく伝わってきますね。

「オマエのKISSはオレにゃHIGHEST」とはすごいフレーズだが、オレにゃってのが逆にカッコいいのかも。

I'M ON FIRE

I'M ON FIRE

  • 44マグナム
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

ただ、サビ以外のメロディーやギターリフはTygers of Pan Tang「Silver and Gold」のまんま(オマージュというべきか)だったりする。44MAGNUMはこれを元に、キャッチーで演奏も色々と工夫を盛り込んだなぁ、と。

双方を視聴して聴き比べしてみてほしい。

Silver and Gold

Silver and Gold

  • タイガース・オブ・パンタン
  • ポップ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

02 YOUR HEART

M01に続いて印象的なリフを刻んでいく疾走ナンバー。熱のこもったサウンドでM01に続いてリスナーの耳を離れさせない。

イントロのドラムがカッコいいです。そしてスピーカーから飛び出るようなギターソロにノックアウト。これぞまさしくギターヒーローの奏でるギター。

 

やはりこのアルバムが名盤なのって、M01→M02とスピーディーなメタルで押し切ったことにあると思う。M01の時点でアルバムに引き込まれるのに、ダメ出しのようにM02で畳みかけてくるのだから。この2曲聴いたら、途中で離れようとは思えなくなる。44MAGNUMの作戦にまんまと乗せられたような、天晴。

YOUR HEART

YOUR HEART

  • 44マグナム
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

04 YOU LOVE ME, DON'T YOU?

ブルージーでかつヘヴィメタルという組み合わせを表現した8分あるロングロックバラード。

 

44MAGNUMが拠点とした大阪は、80年代はジャパニーズ・メタルが多く誕生したが、70年代ではブルースがブームとなったことで知られる。

上田正樹(彼の場合はソウルというべきか?)や憂歌団、ウエスト・ロード・ブルース・バンド(永井ホトケ隆や中島正雄が在籍)、ブレイクダウン(近藤房之助が在籍)などがその代表格で、とりわけBeingとも関係が深い地であったりする(大阪のブルースブームに関しては、Beingのライナーノーツでも指摘・解説がなされている)のだが、そんな大阪出身を反映させたようなブルース+メタルなサウンドで、当時のジャパニーズ・メタルでは異色な1曲(ソウルバンドやってた二井原実には近い部分があるかな)。

 

メタルなリフやドラム、ベーステクニック以外でも勝負できるんだぜ、といった気合が伝わってくる。まさしく熱唱してシャウトも決める梅原“PAUL”達也のボーカルが圧巻だし、最後には演奏をドンドン盛り上げて8分間を引き付けるバンドの底力を感じさせる。

 

ただ、4曲目というのが筆者的には好めない部分があって、良くも悪くも前半の疾走感を変える場所にいるのがこの曲。個人的にはM04とM05が逆ならシックリくるんだよなぁ。

 

YOU LOVE ME, DON’T YOU?

YOU LOVE ME, DON’T YOU?

  • 44マグナム
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

05 NO STANDING STILL

本アルバム第二幕の始まりを告げるようなロックナンバー。

 

歌詞にあるように「立ち止まるな いそいでくぐり抜け」なスピーディーでヘヴィなサウンドが特徴。JOEさんのバスドラが唸る。まくしたてるボーカルといい、とにかく爆走していくサウンドがやはり良い。歌メロは非常にキャッチー。

 

後にGargoyleが『JAPANESE HEAVYMETAL TRIBUTE 魂Ⅱ』にてカバーしている。ゴリゴリなサウンドになった。KIBAさんの迫るようなボーカルも良い。

 

NO STANDING STILL

NO STANDING STILL

  • 44マグナム
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

 

07 BABY, COME TOGETHER

本アルバムの中でとびっきりキャッチーなLAメタル風な爽快ロックナンバー。

歌詞にもあるように「楽しけりゃいいじゃない」とノリの良いポップスさが耳に残る。

 

83年という歌謡曲全盛期に後のバンドブームやJ-POPに通ずるような軽快で爽快なメロディーは中々面白いいものだと思う。コーラスワークもカッコいい。こういう曲を作れた柔軟さが44MAGNUMの強みだったなぁと85年前後にオリコントップ10入りした実績からも感じ取れる。

 

BABY,COME TOGETHER

BABY,COME TOGETHER

  • 44マグナム
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

09 SATISFACTION

英語詞で歌われた軽快なメタルナンバー。LAメタルのような軽快さとライブのようなノリの良さが特徴的。

明らかにライブでやったら盛り上がる、って感じの1曲で、ヘイ、ヘイヘイ!と一体感の感じるサウンドはアルバム最後の曲ながらその名残惜しさを感じさせない。

 

曲の最後に、STREET ROCK'N ROLLERの一部が演奏されてフェードアウトする仕組みになっている。つまりは、本アルバムが完成した段階で既に次回予告を行っているというエンジョイさ。

ただ、02年以降はボーナストラックが収録されている為、この次回予告がぶっきらぼうに。仕方ないんだけどね。 

 

SATISFACTION

SATISFACTION

  • 44マグナム
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes