WANDS 14thシングル
1998年6月10日 リリース
概要
WANDS14枚目のシングル。
第三期WANDSとしては3枚目のシングル。
01 明日もし君が壊れても
アニメ『遊☆戯☆王』のエンディングテーマ。
『遊☆戯☆王』は現在も続く大人気アニメではあるが、WANDSがタイアップした『遊☆戯☆王』は、現在まで続くアニメシリーズの原点である『遊☆戯☆王 デュエルモンスターズ』(ジャニーズの風間俊介が主演の声優を務めたもの)ではなく、それ以前に放映された『遊☆戯☆王』の方を指す。
『遊☆戯☆王 デュエルモンスターズ』がテレビ東京で放映されたのに対し、『遊☆戯☆王』はテレビ朝日で放映された為、「テレビ朝日版」もしくは「東映版」と区別されることが多い。
アニメ版『遊☆戯☆王』の原点である『遊☆戯☆王 デュエルモンスターズ』及びその続編とは話の繋がりが無い・2クール+短編映画で終了・VHSは廃盤、未DVD / Blu-ray化・そしてネット配信もされていない、という不遇さで、正規の手段で現在視聴することは難しく、認知度も低い。
その為、アニソンとして取り上げられる機会も少ないが、逆にその不遇さが、後追い『遊☆戯☆王』ファンに、本作を知られるキッカケとなり、この曲の認知にも繋がっている気もする。
余談だが、『遊☆戯☆王』の作者、高橋和希は同作品の文庫版でこの東映版についてコメントをするなど、完成に忘れられている訳ではない模様。
『遊☆戯☆王』というタイアップ効果がどれほど効果を発揮したのかは不明だが、オリコントップ10にランクインするなど、セールス的には健闘した。
実際、当時の人たちにとって、『遊☆戯☆王』はどれくらい人気だったのだろうか。
ジャンプ系アニメとはいえ、2クールで終わってるし…。後のシリーズは人気だったが・・・。
WANDSはセールス的に成功した一方で、オープニングを担当したFIELD OF VIEWはセールスが後退してるし・・・。
タイアップ効果、宣伝、曲の出来、この3つがどれほど作用して、オリコントップ10にランクインしたかは興味がある。
作詞は前作と同じく坂井泉水。
作曲は大野愛果が提供。
彼女は後に倉木麻衣や大野愛果に曲を提供して活躍した人物であるが、本作が作曲家として初提供された作曲家デビュー作である。
旧公式サイトでは「今までWANDSサウンドを継承しながらも、新しいサウンド・アプローチを打ち出したアレンジが第3期WANDSの特徴とも言える。」と評された壮大なロックバラード。
イントロやアウトロで聴こえるチェンバロやグロッケンを始め、重く深みのあるピアノとどこか西洋的な雰囲気を感じさせる厳かで優雅な1曲で確かに、今までのWANDSを継承しながらも新しいアプローチが聴こえるサウンドだと思う。
1番はピアノとボーカルがメインで、2番からギターとドラムが参加し、一気に広大になって引き込まれる展開、メロディーの強さ、そして和久さんの突き抜けるようなパワフルな高音ボーカルと、3拍子揃ったインパクトの強さは、この曲を唯一無二のロックバラードに仕立て上げている。
特にサビ部分の和久さんによる高音ボーカルは圧巻としか言いようがない。
コーラスでハモる川島だりあさえも押し倒すような、正に驚異的。
ギターソロでは地味にスウィープを組み合わせており、非常にエモーショナル。
前作に続き、「愛」について歌った歌詞だが、前作以上に哲学的。
和久さんが会報で「言葉に出来ないんですけど、感動とはまた違ったものがありました」というコメントが一番適している気がする。
だいぶ哲学的で抽象的。見方によっては支離死滅にも感じてしまう気もするが、簡単に言葉では表せれないような、言葉の内に秘めた「何か」を感じさせる歌詞だと思う。
作詞をした坂井泉水によるZARDでのセルフカバーも、前作と同じく制作されており、オリジナルアルバム『時間の翼』に収録された他、坂井さんの死後に制作されたベストアルバム『ZARD Request Best 〜beautiful memory〜』にも収録され、こちらは葉山たけしによるリアレンジがなされた。
また、『時間の翼』はZARDのアルバムとしては唯一の廃盤となり、30周年記念リアレンジ盤『時間の翼 -30th Anniversary-』がリリースされ、更にリアレンジされている。
『時間の翼』(配信されているものは『時間の翼 -30th Anniversary-』のリアレンジバージョン)
『ZARD Request Best 〜beautiful memory〜』
また、作曲をした大野愛果も「fall apart again」と改題した英語詞でのセルフカバーをしており、セルフカバーアルバム『Shadows of Dreams』に収録されている。
余談だが、大野愛果は作曲家デビューしたこの曲と同時期に制作された曲があと2曲あり、それが愛内里菜&三枝夕夏のシングル「七つの海を渡る風のように」(2007年)と三枝夕夏 IN dbのシングル「笑顔でいようよ」(2004年)であることが自身の公式サイトにて明かされている。
またまた余談だが、アニメ『遊☆戯☆王』のエンディングで使用された際は、「錆びついた~」と同じく、CD版のテイクとは違ったバージョンが使用されており、イントロでエレキギターが鳴っていたり、サビのドラムのタイミング、ボーカルテイクなど、違う部分が多い。
『遊☆戯☆王』のサウンドトラックは発売されておらず、CDで聴くことはできない模様。
02 Soldier
木村さん作詞作曲によるカップリング曲。
ディストネーションの効いたギターサウンドに、真っ直ぐでキャッチーなサウンドが印象的な疾走感のあるロックナンバー。
「愛を語るより口づけをかわそう」のようなオーソドックスで明るく疾走感のあるサウンドは、WANDSらしさを感じさせる1曲。
会報では「カップリング曲が良かった」と当時からファンに好評だったようだが、実際、A面を飾っていてもおかしくないようなポテンシャルを秘めた1曲だと思う。
歪んだハードなギターがサウンドを引っ張りつつも、キーボードが埋もれず、縁の下の力持ちとしてグッと音を支えているバランスが3期WANDSらしい部分であり、三位一体となったロックサウンドという力強さを感じさせるのだ。
恋愛をゲームだった、としつつも恋愛に対する苦悩や葛藤を赤裸々に歌った楽曲で明るいサウンドの割には、ポジティブだったりネガティブだったりする何とも言えない寂しさがある。
「世界は変わる きっと僕らの気持ち次第 やりきれない事ばかりだけど」
がWANDSと少し重なって聴こえるのは、偶然か、それとも本音だったのか・・・。
アルバム未収録ながら、WANDSらしさをふんだんに感じさせる名曲。
実は3期WANDSで、これだけパっと明るさを感じさせる曲は珍しいようにも感じる。
この曲以外だと、「錆びついた~」ぐらいのような。
『AWAKE』に収録された楽曲は、どこか暗さを感じさせるようなものが多かった為、こう、明るい3期WANDSなサウンドというのは珍しいように思えるのだ。
そういった意味では、アルバム未収録になるのも納得な気もする・・・。
03 明日もし君が壊れても (Original Karaoke)
コーラス有りのカラオケ音源。
聴きどころは何と言ってもサビでコーラスをしている川島だりあさんの歌声。
なんなら、だりあさんソロで歌ってても違和感がないかも。