WANDS 4thシングル
1993年2月26日
概要
WANDSの4thシングル。
WANDS単体の名義としては初の木村真也(Key)が加入したシングルで2期WANDSのデビューシングルとなる。
前作に続いてまだ木村さんは眼鏡をかけていない。
本曲はミリオンヒットとなり、前々作「もっと強く抱きしめたなら」、前作「世界中の誰よりきっと」に続いてのミリオンヒットを記録。WANDSにとって大きな風が吹いた頃であった。
このシングル盤から上杉昇の表記が変わり、「Uesugi」から「Wesugi」に変更された。
これでW(上杉)&S(柴崎)でWANDSというユニット名の設定が誕生した。
もちろんこの設定後付けのもので、元は長門プロデューサーが「幸福の杖」を表すタロットカードから命名されたとBeingのライナーノーツや上杉さんの自伝に記載がある。
木村さんがこの語呂合わせに合わせる芸名になりかけた、ということが上杉さんの自伝に書かれている(各自確かめてほしい)。
以後、W&Sの設定は継承され、3期では和久(W)&杉元(S)となり、4期の上原&大島を抜いて5期でも上原(W)&柴崎(S)となっている。
01 時の扉
WANDS1期のメンバーであった大島こうすけ作曲による1曲。
『WANDS BEST 〜HISTORICAL BEST ALBUM〜』のライナーノーツに2ndシングルの候補曲として挙がっていた、とあり、ストック曲として存在していた。
その後、上杉さんによる提案で2期の始まりを告げる曲としてシングル化されたことは、ライナーノーツにも上杉さんの自伝にも共通して書かれている。
この楽曲に対し、何パターンものバージョンが作られたというエピソードもライナーノーツにあり、結果「ロックとダンス両方の旨みを活かしたものが採用された」とある。
編曲は明石昌夫によるものだが、もしかしたら大島こうすけによるアレンジも存在したのかもしれない。こちらの動画(によれば、大島さんのデモを聴いてアレンジした、と明石さんが語っている。
ロックとダンス両方の旨みを活かした、とあるように、デジタルロック+ダンサンブルな曲調で、一時期のWANDSサウンドを象徴させていたようなサウンド。
筆者が初めてWANDSの曲を聴いたのがこの曲(アルバム「時の扉」から)だった。親に「WANDSの代表曲ってなんなの」と聴いたらチョイスされたのだが、初めて聴いたときはビョンビョンしたデジロックでなんだかなぁ、となったのが正直な感想。
WANDSの最初にこの曲を聴いて響かず、一旦『時の扉』を仕舞いこみWANDSに距離が出来てしまうぐらいだったが、『WANDS BEST 〜HISTORICAL BEST ALBUM〜』のリミックス版を聴いて好きになった。
シングル版は全体的にこじんまりとしている感じがして、煮え切らないというか。
歌詞は失恋からの悲しみを振り切るような前向きな歌詞で、Wikipediaには「自分が落ち込んだりした時に、自分自身を元気づけるような曲が欲しかった」(『突然バラエティー速報!!COUNT DOWN100』出演時)と書かれている。
ストレートに前向きで鼓舞するような歌詞か、と言われればそうでもないような感じがして、痛みを伴いつつの前向きというか、荒療治的に鼓舞するような印象を受ける歌詞で、その点では上杉昇としての心象をストレートに描いたのかもしれない。
元気よく歌うサビのボーカルも、どこか哀愁を感じる。
02 声にならないほどに愛しい
作詞家:上杉昇としてMANISHに提供された楽曲のセルフカバー。MANISH版と歌詞の一部が違っている。
上杉さんって詞を他のアーティストに詞を提供することがチラホラあったが、Beingブーム期の男性アーティストでは珍しいような。
森友嵐士や池森秀一、浅岡雄也といった面々が詞を提供することはなかったし。
長門プロデューサーや会社側の評価が高かったのか、単に作詞のペースが速かったなのか。そしてWANDSのシングル A面として漏れて提供という形になったのか。
提供先であるMANISH版「声にならないほどに愛しい(2nd シングル)」は本作「時の扉(シングル)」の約1ヶ月前にリリースされており、とても速い段階でセルフカバーされている。
1ヶ月後にセルフカバーをリリースというペースからして、もしかしたら、MANISHのレコーディングと同時期にWANDS版のレコーディングも行っていたのかも。
MANISH版と同じく明石昌夫が編曲。
アレンジャーが同じということもあってか、WANDSセルフカバーソングの中では一番、提供先とアレンジの変化があまりない曲で、筆者としては地味に感じる1曲。
MANISHの方はイントロがドラマチックなキーボードから始まっていたが、WANDS版はギターから始まる。
演奏がMANISHのとあまり変わらない、それでいてイントロもシンプルになっているのもあって、WANDS版は(MANISHと比べて)シンプルすぎて普通という印象。
織田哲郎作曲なのでBeing流王道売れ線ポップスではあるが、正直この後、同じようなテイストの織田哲郎作曲ソング「愛を語るより口づけをかわそう」がリリースされたのもあって、その影に埋もれたように感じるのが本音。
どうせセルフカバーするなら、もうちょっと変化が欲しかったというのが正直な感想。
2ndアルバムには収録されなかったが、3rdアルバム『Little Bit…』には収録され、そこではギターが多少変化しており、大黒摩季のコーラスが加えられるといったアルバムバージョンとして収録された。
03 時の扉(オリジナル・カラオケ)
コーラス有りのカラオケ音源。
コーラスに力が入っていて派手。歌の後ろで鳴っているサウンドが面白いと再確認させてくれる。